2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591733
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
戸田 雄一郎 岡山大学, 大学病院, 講師 (00379786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 潔 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40108171)
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Keywords | 小児 / 急性腎傷害 / 心臓手術 / バイオマーカー / NGAL / hepcidin / アルブミン |
Research Abstract |
心臓手術,特に人工心肺を用いた手術の後には10%から30%に急性腎不全が発症する。 またその中で透析を必要とした成人患者はそうでなかった群と比較して死亡率が高いことが報告されている。以前にわれわれが研究した結果では,心臓術後に透析を受けた小児患者は受けなかった群と比較して有意に死亡率が高かった{透析患者55%vs非透析0.38%}。NGAL(Neutrophil Gelatinase-Associated Lipocalin)は動物実験や救急外来にきた患者の尿中に腎障害の初期に排出され,腎臓の軽度の障害を発見できる可能性が示唆されている。hepcidineは成人の心臓外科術後の腎不全患者のマーカーになる可能性が示唆されている。また尿アルブミンは古くから知られている慢性腎疾患の病態である。 方法 2010年7月より当院にて心臓手術を受けた小児(18歳未満)が対象。手術などに関連する項目を収集し,術後の経過も詳細に記載する。手術終了後集中治療室に入室した時点で尿を採取し,凍結保存ののちエライザ法でNGAL,hepcidinを測定した。また尿中のアルブミンも測定した。また腎傷害の程度はライフル分類で決定した。 NGAL,hepcidin,アルブミンと腎傷害の重症度の関連などを検討した。 結果 現時点で約300名の尿検体採取および症例登録が済んでいるが,NGALを測定できているのは87名であった。ライフル分類では腎不全フェイラーが3名,インジャリーが15名,リスクが39名で,のこり30名が正常であった。これを正常30名と腎不全群57名の2群に分類してNGALを比較すると126ng/mlおよび114ng/mlで群間に有意差はなかった。しかし腎不全群では集中治療室滞在日数が延長するなど予後悪化因子をみとめた。hepcidinはほぼ同数の患者で測定しているが,現時点で腎不全患者での特徴は見いだせていない。これに対して尿中アルブミンはライフル分類のフェイラーを予測し,腹膜透析と有意に関連した。 結論 現時点ではNGAL,hepcidinと腎不全に関連性はみられていない。尿アルブミンは腹膜透析や腎不全を予測した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例の蓄積は予定通り進んでおり,およそ400から500例を登録できそうである。尿中のバイオマーカーの測定がやや遅れてはいるが,期間内でのおおよその症例の測定は可能とおもわれる。しかしながら,症例が多く,全症例の検体を測定することは予算的に困難が予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予想したのとは反対にバイオマーカーであるNGALに関しては腎傷害との関連性はわれわれの研究では見いだせそうにない。そこで,検体の採取時期が問題かもしれないかと考え,時間を少し経過してからの尿も採取し2点で測定したがやはり結果は同様だった。そこで別のマーカーであるhepcidinを検討し,さらに最近成人領域などで再注目されはじめた尿アルブミンも測定し,アルブミンにかんしては腎傷害との関連性を見いだした。
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