2011 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄虚血後の痙性対麻痺に及ぼすα2アドレナリン受容体アゴニストの鎮痙作用
Project/Area Number |
22591742
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
渕上 竜也 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (10381211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣花 学 国立大学法人琉球大学, 医学研究科, 准教授 (20274897)
照屋 孝二 国立大学法人琉球大学, 医学研究科, 助教 (50437985)
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Keywords | 虚血性脊髄障害 / 対麻痺 / α2アドレナリン受容体 / イミダゾリン受容体 / 痙性 / 脊髄運動神経細胞 |
Research Abstract |
【方法】SD系ラット350-400gを用いた。鎖骨下動脈直下に留置したバルーンカテーテルを拡張し、胸部下行大動脈の血流を10分間遮断することによって、脊髄虚血を作成した。虚血8-12週後、独自に開発したSpasticityとRigidityを定量的に観察するモニタリング・システム(Spastic Meter^2)を用いて痙性対麻痺を観察し、これに及ぼすチザニジンの治療効果を確認した後に、深麻酔下にラットをパラホルムアルデヒドで灌流固定し腰部脊髄の免疫組織学的検討を行った。免疫染色はGFAP、NeuN、Syn、α2Aアドレナリン受容体抗体を用い、共焦点走査型蛍光顕微鏡で観察した。 【結果】正常ラットの脊髄横断切片では小型から中型の介在ニューロンとα運動ニューロンにα2A受容体陽性所見がみられた。同切片でGFAPに弱い抗原性を示すのみであった。痙性対麻痺ラットの脊髄ではα運動ニューロンは残存しアストロサイトが増加した。免染で、α2A受容体に対する抗原性も増加した。虚血部位周辺で増加したアストロサイトではα2A受容体も多くみられた。別のα2A受容体抗体を用いた免疫染色では、α運動ニューロンと介在ニューロン表面に受容体が存在することがわかった。α2A受容体抗原は介在ニューロンと運動ニューロンの両方に発現していた。対照ラットと虚血ラットで染色パターンに違いはみられなかった。共焦点蛍光顕微鏡を用いた観察でα2A受容体とサイナプシンがcolocalizeする像がみられた 【意義および重要性】痙性対麻痺ラット脊髄ではアストロサイトが活性化し、同部位でα2A受容体の増加が確認できた。脊髄レベルでのチザニジンの薬理効果が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チザニジンの虚血性脊髄障害による痙性対麻痺への鎮痙作用が再現性を持って確認できた。α2アドレナリン受容体の各種サブタイプに対するアゴニスト、アンタゴニストを用いて鎮痙効果を観察しα2Aアドレナリン受容体の重要性に着目した。前記の薬理学的検証の後に、当初はNOに着想した薬理学的検討を行う予定であったが、組織学的検討を優先した。その結果、免疫組織学的手法を用いて脊髄のα運動神経や虚血脊髄で増加したアストロサイトでのα2Aアドレナリン受容体の発現を観察し、脊髄レベルでのチザニジンの薬理作用の可能性を証明した。
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Strategy for Future Research Activity |
痙性対麻痺に対するTizおよび一酸化窒素代謝酵素阻害剤(NOS阻害薬)の効果:脊髄虚血性対麻痺モデル作成は前記と同じ.空気-イソフルラン麻酔-一脊髄硬膜移行部を25G注射針で切開し,くも膜下カテーテル(8.5cm PE-5カテーテルとPE-10カテーテルを結合し,作成した薬物注入用カテーテル)を挿入し,頭皮を絹糸で縫合する.ラットを麻酔から覚醒させる.後日,くも膜下カテーテルからチザニジンおよびNOS阻害薬を投与し,その前後の痙性対麻痩の変化を評価する.チザニジンやNOS阻害薬、それらの併用で痙性麻痺上が減少した場合,一酸化窒素の基質であるL-Arginineをくも膜下投与し,減少作用が拮抗されるか確認する.また、併用群では、アイソボログラムを作成する。
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