2011 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子多型が麻薬性鎮痛薬の鎮痛効果と副作用に及ぼす影響に関する臨床的研究
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22591747
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
林田 眞和 順天堂大学, 医学部, 教授 (80251289)
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Keywords | 疼痛管理学 / 遺伝子多型 / 麻薬 / オピオイド / 手術痛 / 術後痛 / 難治性慢性疼痛 / 麻薬感受性 |
Research Abstract |
平成23年度は、さらに症例を加え、平成24年3月15日時点で、腹腔鏡補助下大腸切除術を受ける患者179症例より研究同意を取得し、途中で開腹手術に移行した2症例を除外した177症例において、全身麻酔下手術中の麻薬(レミフェンタニル)の必要量、手術後2時間、4時間、6時間、12時間、18時間、24時間内の、患者自己管理鎮痛法(PCA)による麻薬(フェンタニル)必要量、術後2時間、4時間、6時間、12時間、18時間、24時間の疼痛(VAS)スケール、嘔気・嘔吐、呼吸抑制などの臨床データを集積するとともに、麻酔中に10mL採血して、DNA試料を採取した。 最初の144症例におけるHuman OmniExpress-12遺伝子網羅解析キットによる約百万か所の遺伝子多型解析を実施し、遺伝子多型と関連する臨床的表現型(術中・術後の麻薬必要量や疼痛スケールなど)の検出を試みるゲノムワイド関連研究(GWAS)を実施している段階である。平成24年度は早々に目標である計300症例分のデータを集積し、科研費の期限内に研究成果を上げる事に注力する。 最初の144症例の臨床表現型の解析では、術中平均レミフェンタニル必要量は、0.05~0.55μg/kg/分と患者間で約10倍の差が認められ、術後PCAフェンタニル必要量も、術後12時間の時点で2~20μg/kgとやはり、約10倍の差が認められた。術中平均レミフェンタニル必要量と術後PCAフェンタニル必要量の間には相関はなく、術中痛と術後痛の機序に差異がある事が示唆された。また、術中平均レミフェンタニル必要量や術後PCAフェンタニル必要量は、手術時間、年齢、性別との有意な相関が認められず、遺伝子レベルなど他の因子が大きく関与する事が示唆された。遺伝子多型解析との突き合わせに大いに期待している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年間手術数の制約もあり、GWASで意味のある解析結果が出るとされる目標症例数300に比べると、現段階で177症例とやや遅れている。ただし最初の144症例での遺伝子解析は施行しているので、その解析結果で麻薬の必要量などと有意に相関する遺伝子多型が同定できるものと期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の方法で症例を重ね、できるだけ精度の高い結果を出せるよう注力する。
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Research Products
(5 results)