2011 Fiscal Year Annual Research Report
癌性疼痛におけるモルヒネ長期髄腔内投与の副作用についての研究
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22591750
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
近藤 一郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (50266623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤ヶ崎 純子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60312021)
長沼 恵子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (70277086)
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Keywords | 癌性疼痛 / モルヒネ / 肉芽形成 / 脊髄鎮痛 |
Research Abstract |
われわれは現在までにラットを用いて2週間のモルヒネ髄腔内長期投与での脊髄肉芽組織の作成に成功した。そしてモルヒネ長期髄腔内投与による鎮痛耐性とその肉芽による圧迫にて運動神経障害を起こすことが分かった。組織学的には肉芽は炎症細胞の強い浸潤が認められ、カテーテルの周囲に存在し脊髄神経組織自体を圧迫していた。α2アゴニストであるデクスメデトミジンも2週間の髄腔内長期投与を行った。容量依存性に鎮痛効果があるがモルヒネと同様に鎮痛耐性があることがしめされた。ただ、デクスメデトミジンには脊髄肉芽反応はなく、運動神経障害も起こらなかった。 鎮痛効果をほとんど示さない低用量のDEXをモルヒネと併用することで、モルヒネの鎮痛耐性と肉芽形成を抑制し、運動神経障害をも抑制した。組織学的にもその肉芽の発生はほとんど見られなかった。これらの一連の結果は数を増やし、有意な差を持って証明することができている。 慢性疼痛モデルである癌性疼痛モデル(腫瘍移植モデル)を作成に関しては継代培養している乳腺腫瘍細胞をラット大腿骨に移植し、腫瘍の増殖、痛覚過敏反応を引き起こすことに成功しており、画像診断(CT撮影)でも明らかに腫瘍が大腿骨で増殖していることが確認されている。しかし、いまだ行動実験に関しては個体差が強あり、痛覚過敏を呈するラットとしないラットが存在する。そのため癌性疼痛モデルに対するモルヒネやデクスメデトミジンの長期投与研究、脊髄肉芽組織研究には至っていない現状である。現在ラットの性質を変更(雄雌、サイズ、種類)して検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラットの癌性疼痛モデルはいまだ成功しているグループは少なく、これの作成に時間を要している。具体的には腫瘍の移植は成功しても痛覚過敏反応に個体差がある現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
ラットの性質を変更(雄雌、サイズ、種類)して継続する予定。
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