2010 Fiscal Year Annual Research Report
循環系平均充満圧及び有効循環血液量ガイドによる新しい血行動態最適化治療法の開発
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22591758
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
宍戸 稔聡 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究企画調整室, 室長 (60300977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 欣洋 独立行政法人国立循環器病研究センター, 移植部, 医師 (10572092)
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Keywords | 医療・福祉 / 循環器病学 / 周術期管理 / 輸液療法 / 制御工学 / 心臓力学 / 循環生理学 |
Research Abstract |
Guytonの提唱した循環平衡モデルを拡張した「2ポンプ+2血管床」の包括的循環モデルから推定される最大静脈還流量または有効循環血液量と、実際の生体における循環系平均充満圧の関係を明らかにするため、体外循環を用いた麻酔開胸犬モデルの作成を行った。まず、完全両心体外循環モデルを作成し、ポンプ流量を変化させ体循環と肺循環の血液量を不均衡化し、種々の組み合わせでの右房圧、左房圧、心拍出量を求め、個体毎の循環還流平面を同定した。その後、両心ポンプを停止し両心を迂回するシャント回路により循環を行った際の動脈圧及び右房圧のプラトー相からの近似による循環系平均充満圧を求めた。イヌにおける標準循環還流平面から推定される最大静脈還流量と個別に求めた最大静脈還流量の関係は、ばらつきがあるものの良好な相関が認められた。この推定最大静脈還流量から予測される循環系平均充満圧と実際の値を比較したところ、相関は認められるものの、過小評価されることがわかった。そこで、個別の最大静脈還流量から推定される循環系平均充満圧を用いて再評価したところ、その場合でも系統的に2mmHg以上過小評価される傾向にあることがわかった。この原因として、両心体外循環停止中のシャント回路経由での循環血液の再分布に要する時間がかかりすぎ、循環系平均充満圧が正確に求められていない可能性が示唆された。そこで、シャント回路の抵抗を小さくしたりプラトー相を長くするなどの改良を加えたが、実験動物の状態が安定せず、輸液・脱血等の繰り返し実験が行えないという事象が発生した。現在、モデルを改良し、動脈系-静脈系のバイパスを追加して能動的に循環血液の再分布を促すことが可能なモデルの検討を開始した。
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