2011 Fiscal Year Annual Research Report
循環系平均充満圧及び有効循環血液量ガイドによる新しい血行動態最適化治療法の開発
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22591758
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
宍戸 稔聡 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究企画調整室, 室長 (60300977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 欣洋 独立行政法人国立循環器病研究センター, 移植部, 医師 (10572092)
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Keywords | 医療・福祉 / 循環器病学 / 周術期管理 / 輸液療法 / 制御工学 / 心臓力学 / 循環生理学 |
Research Abstract |
初年度に問題となった、循環系平均充満圧(MCFP)の真値推定に関する測定方法について改良を行った。完全両心体外循環を用いた麻酔開胸犬モデルにおいて、動脈系-静脈系のバイパスを作成するために遠心ポンプを更に追加して積極的に循環血液の再分布を促進することを試みた。その結果、初年度にはシャント回路経由での循環血液の再分布に要する時間がかかりすぎた問題は解決し、心室細動誘発とともに遠心ポンプを作動すると1~2秒以内に大動脈圧と右心房圧は平衡に達することが可能となった。この方法によって推定される循環系平均充満圧(estMCFP)は、MCFPの真値とは良好な直線関係にあり(estMCFP=0.90 MCFP+0.73,r^2=0.969,p<0.0001)、y軸切片の95%信頼区間は-0.33~1.8であったが、傾きの95%信頼区間は0.81~0.98とやや過小評価される傾向にあった。しかしながら、強制循環平衡法により求められたestMCFPを補正し(MCFP=1.05estMCFP)、これを真値と仮定することで、初年度に実施できなかった輸血・脱血実験を同一個体で繰り返し行うことが可能となった。 次に、Guytonの循環平衡モデルを拡張した「2ポンプ+2血管床」の包括的循環モデルから推定される最大静脈還流量から計算されるMCFP(calMCFP)と真値の関係について、上記のモデルを用いて検討を行った。その結果、両者は良好な直線関係にあった(calMCFP=0.59 MCFP+3.79,r^2=0.782,p<0.0001)。しかしながら、拡張Guytonモデルから計算されるMCFPは、特に、実際のMCFPが高い際に過小評価される傾向にあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
循環系平均充満圧の真値推定法の開発に、予想以上に時間がかかった。その結果、輸液量と循環系平均充満圧の関係の定量化が動物実験でも実施できていない。従って、最終目標である臨床例での検討に入るのはやや遅れる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験による輸液量と循環系平均充満圧の関係に関する定量評価は、モデルが完成したので早急に実施する予定である。これらの結果を待って、臨床応用の検討に入ると更に時間がかかるため、実臨床での輸液療法中の血行動態のデータを採取し、それを基に検討が可能であるか検討を開始する。
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