2011 Fiscal Year Annual Research Report
NFκB-IL6系を標的とした難治性前立腺癌の進展と癌随伴症に対する新規治療戦略
Project/Area Number |
22591779
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
中島 淳 東京医科大学, 医学部, 教授 (10167546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橘 政昭 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (70129526)
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Keywords | 前立腺癌 / NFkappaB / cell cycle |
Research Abstract |
前立腺癌はホルモン治療に良好に反応するが、臨床的にはホルモン治療に抵抗性を獲得した前立腺癌の治療には難渋する。In vitroの実験系おいて、新規に開発したNFkappaB阻害剤であるdihydroxymethylepoxyquinomicin(DHMEQ)は2.5,5,10,20,40μg/ml濃度範囲でホルモン非依存性前立腺癌細胞株であるPC-3細胞に対して殺細胞効果を示した。DHMEQのcell cycleに及ぼす作用を調べるために細胞をBrdUにてラベルし、flow cytometric analysisを行った。PC-3細胞においてコントロールにおけるG2/M arrestが32%であったのに対して、2.5μg/mlのDHMEQを作用させたときには、G2/M arrestが39%にみられ、DHMEQがcell cycleに影響を及ぼす可能性が示唆された。ついで我々は新たに合成した薬剤について、殺細胞効果の有無を検討し、その結果によりNFkappaBの阻害実験の必要性を検討した。まず、in vitroの実験系のおいて殺細胞効果を検討した。5x10(3)個のPC-3細胞を96 well microplateに播種し、24時間のpreincubationの後5,10,20,40microM濃度の新規薬剤を作用さ、spectrophotometric assayにて殺細胞効果を検討した。24時間後の殺細胞効果は12%,1%,25%,20%であり、48時間後では8%,4%,20%,25%,72時間後の殺細胞効果はコントロールに比べて9%,0%,26%,30%であった。ついでJCA-1細胞た対する新規NFkappaB阻害剤について同様に殺細胞効果を測定した。5,10,20,40microM濃度の薬剤を作用させたときの24時間後の殺細胞効果は-20%,-10%,10%,28%であり、48時間後では11%,1%,21%,25%,72時間後の殺細胞効果はコントロールに比べて13%,-9%,28%,28%であった。今後は更に強力な薬剤を開発し、その殺細胞効果やNFkappaB活性への影響を含めた作用機序の解明などが必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホルモン非依存性前立腺癌に対する新規治療が望まれているが、新たに開発されたDHMEQがホルモン非依存性前立腺癌に対する効果を認めており、cell cycleへ作用が示唆されたことは新たな発見である。放射線治療におけるNFkappaBの役割などの解明は十分結果が得られていない。一方では更に進化した新規に開発したNFkappaB阻害剤がホルモン非依存性前立腺癌に対する殺細胞効果をある程度示したが、その殺細胞効果に満足することなく、更に強力なNFkappaB阻害剤の新規の開発が望まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
ホルモン非依存性前立腺癌に対しては臨床的にはdocetaxelが用いられるが、その有害事象のリスクは無視できず、その生存期間の延長効果には限界があるといわざるを得ない。このホルモン非依存性前立腺癌に対する有効な治療戦略の確立のために、まずは既存のDocetaxelにNFkappaB阻害剤を併用することにより、Docetaxelの投与量の軽減ならびに、効果増強を目指す。また、今後新規に臨床応用が期待されているカバジタキセルの副作用軽減や効果増強をめざして、NFkappaB-IL-6系に作用するNFkappaB阻害剤を併用した新規の強力な治療法の確立を目指す。さらにはDHMEQに次ぐ次世代の、NFkappaB阻害活性の強いNFkappaB阻害剤を新規に開発し、ホルモン非依存性前立腺癌における効果を検討する。
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Research Products
(1 results)