2010 Fiscal Year Annual Research Report
PEG修飾フラーレンと収束超音波併用による尿路悪性腫瘍に対する音響化学療法の確立
Project/Area Number |
22591783
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
住友 誠 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部・医学科専門課程, 准教授 (50255535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 友彦 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部・医学科専門課程, 教授 (40167226)
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Keywords | ポリエチレングリコール(PEG) / フラーレン / 癌細胞株 / 収束超音波 / 抗腫瘍効果 / 担癌マウス |
Research Abstract |
まず、ポリエチレングリコール(PEG)にて化学修飾することによってPEG-フラーレン結合体を作製した。期待通りにPEG修飾反応の進行とともにフラーレンは水可溶化した。マウス腎癌細胞株Rencaおよびヒト前立腺癌細胞株PC-3に対するin vitroにおける水溶性PEG-フラーレン結合体の抗がん活性をMTSアッセイにて調べたところ、結合体の存在下、収束超音波照射によってがん細胞の増殖が抑制された。なお、超音波照射を行わない場合には、水溶性PEG-フラーレン結合体はがん細胞の増殖抑制効果を示さず、結合体自身には抗がん活性がないことがわかった。続いて、Balb-cヌードマウスの皮下にPC-3を移植することによって担がんマウスを作製した。担がんマウスの腫瘍へ水溶性PEG-フラーレン結合体を直接皮下投与した後、癌組織を様々なエネルギーで超音波照射したところ、in vivoにおけるがん細胞の増殖は抑制された。低エネルギーでの超音波照射のみあるいは結合体の投与のみでは抗腫瘍効果は得られなかった。分子量の異なるPEGによるフラーレンの化学修飾を種々の反応条件で行った。いずれの結合体も超音波照射によって癌細胞のin vitro増殖抑制効果を示した。水溶性PEG-フラーレン結合体のin vivo抗腫瘍効果は、通常超音波照射時間および通常超音波照射エネルギーの増加とともに増強した。これらの抗がん作用は結合体の種類に関係なく、同程度であった。なお、担がんマウスの尾静脈内へ水溶性PEG-フラーレン結合体を投与し、体内での集積状態を検討しようと試みたが、PEGに蛍光物質を修飾する段階で技術的な問題があり、集積実験に関する結果は現時点では得られていない。現在、PEG-フラーレン結合体の体内動態をモニタリングするための代替案を検討している段階である。
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