2011 Fiscal Year Annual Research Report
長期尿路カテーテル留置患者に対する院内感染防止対策に関する基礎的・臨床的研究
Project/Area Number |
22591791
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石井 亜矢乃 岡山大学, 大学病院, 助教 (00423294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
狩山 玲子 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40112148)
苔口 進 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (10144776)
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Keywords | 尿路感染症 / 細菌 / 多剤耐性 / 尿路カテーテル / 院内感染 / 感染管理 / クランベリー / バイオフィルム |
Research Abstract |
長期尿路カテーテル留置患者を対象として、院内感染防止対策を講じる為の実態調査ならびに尿路感染症の感染管理として効果的なクランベリーの投与方法を確立する為の調査を行った。 1.慢性期病院における長期尿路カテーテル留置患者13名を対象に、尿中・口腔内・気管内細菌の検出状況を調査した結果、尿中39株(腸球菌23.1%、大腸菌20.5%)、口腔内14株(緑膿菌50%、MRSA28/6%)、気管内11株(緑膿菌54.5%)であった。尿中・口腔内・気管内から同一菌種が検出された患者数は2名(多剤耐駐緑膿菌と肺炎桿菌、肺炎桿菌のみ)、尿/口腔内:1名(MRSA)、口腔内・気管内:6名(緑膿菌5名、MRSA1名)であった。 2.比較対象として急性期病院における尿路カテーテル留置患者の尿中細菌の検出状況を調査した結果、平成23年の尿中分離菌は51株であり、分離頻度は腸球菌13.7%.大腸菌11.8%と慢性期病院に比べて低かった。 3.健常人6名で、朝食上前、朝食後、就寝前、就寝前と朝食後、就寝前と朝食前でクランベリーを1回160g摂取し、就寝前、朝食前、その後2時間ごと尿pHを調査した。1日平均尿pHは摂取なし:6.38、朝食前摂取:6.06、朝食後:6.10、就寝前:6-05、就寝前と朝食後:6.03、就寝前と朝食前:6.04であった。摂取による尿pHの下降は認めたが、摂取時期、摂取回数による変化は殆どなかった。摂取前と摂取後初回のpHとの比較では、就寝前が最も下降(前:6.42、後:5/86)していた。 4.長期尿路カテーテル留置患者(経管栄養)8名で、栄養剤投与前後2時間ごとに尿pHを調査した。1日平均尿pHは7・48であり、健常人より高値であった。栄養剤の内容、栄養剤投与前後で大きな変動はなく、経管栄養の尿路カーテル留置患者では、クランベリーは栄養剤投与時期に関係なく摂取可能と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
同意に関する説明は主に家族に行っているが、直接家族と面会することが難しいため、追加症例の同意取得が滞っている。今後は電話で直接説明・依頼し、同意書類を郵送することなども考えたい。また対象病棟も拡大することを考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
慢性期病院に入院中の長期尿路カテーテル留置患者を対象として、クランベリーの投与を行い、症候性尿路感染症発症予防のための尿路カテーテル管理方法を確立する。慢性期病院の長期尿路カテーテル留置患者での尿中・口腔内・気管内細菌の実態調査は24年度も継続し、比較対象として慢性期病院の尿路カテーテル非留置患者や急性期病院の尿路カテーテル留置患者についての実態調査を行う。主要検出菌(特に薬剤耐性菌)に関しては、バイオフィルム形成能などの細菌学的検討ならびに尿路カテーテル留置患者間の交差感染の有無および同一患者における尿中・口腔内・気管内細菌の関連性を検証するためパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)法などで分子疫学的検討を行う。
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