2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト男性不妊症と習慣流産の病態解明およびその臨床医学への応用
Project/Area Number |
22591811
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
宮本 敏伸 旭川医科大学, 医学部, 講師 (70360998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千石 一雄 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30163124)
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Keywords | 無精子症 / 減数分裂 / SCOS / mutation / SNP |
Research Abstract |
不妊症における男性因子の重要性は広く認識されているものの、ヒト精子形成のメカニズムはほとんど明らかにされていない。一方マウスにおいては近年そのメカニズムは著明に解明されてきている。しかし、全てのノックアウトマウスの表現型がヒトにおいて忠実に再現されている訳ではない。この点がヒトの疾患原因遺伝子の同定をより難しくしている理由の一つである。近年マイクロアレイ法によりSCOSによる無精子症患者の精巣においてその発現が低下している遺伝子がいくつか同定された。そこで我々はそのうちの一つであるSEPTIN12遺伝子に着眼し解析を行った。組織学的にSCOSに起因する無精子症と診断された日本人患者100名及び妊孕性が確認されている正常コントロール140名から血液を採取し、DNAを抽出した。ヒトSEPTIN12遺伝子の全てのcodingregionに隣接するイントロン部位にプライマーを設定し、nested PCR法を行いダイレクトシークエンスによりmutation解析を行った。得られた結果を統計学的に解析しその有意差を検討した。解析の結果、エクソン2,4,5においてそれぞれ8つのsingle nucleotide polymorphism : SNP1-SNP8検出した。患者群と正常コントロール群でゲノタイプ及びアレルの出現頻度を検討したところ、SNP3,SNP4及びSNP6において患者群とコントロール群ではゲノタイプ、アレルの出現頻度ともに統計学的に有意な差を検出した。本研究によりヒトSEPTIN12遺伝子がヒト精子形成過程においてに重要な役割を担うことが強く示唆された。さらにこのSEPTIN12遺伝子が減数分裂停止による無精子症にも深く関与していること、さらに新たなヒト無精子症原因遺伝子としてヒトHOMAD1遺伝子の同定にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年はimpact factorを有する英文雑誌に論文5本を発表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
我々はこれまでヒト無精子症に深く関与する多数の新規遺伝子を同定してきた。しかしながらその発症メカニズムは不明なままである。そこで今後は機能解析を進め、その病態解明を推進していきたい。
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