2011 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外線分光法による胎盤酸素化動態に胎児循環がおよぼす影響についての基礎的検討
Project/Area Number |
22591820
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 一有 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (50456571)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金山 尚裕 浜松医科大学, 医学部, 教授 (70204550)
伊東 宏晃 浜松医科大学, 医学部附属病院, 准教授 (70263085)
|
Keywords | 近赤外線分光法 / 胎盤 / 酸素 / 子宮内胎児発育不全 / 妊娠高血圧症候群 |
Research Abstract |
これまでの臨床検討により胎盤機能不全とそれに関連するchorangiosis(胎盤血管腫症)を合併する症例において、胎盤の酸素濃度が上昇していることが明らかになった。(chorangiosis and placental oxygenation-胎盤血管腫症における胎盤組織酸素化の検討-Congenital anomaly 49 : 71-76, 2009.)その後研究をすすめ、平成22年度までに、臨床にて観察された胎盤酸素濃度が上昇しているという病態を動物実験にて再現することができた。また、その胎盤酸素濃度上昇のメカニズムに胎児循環が大きな役割を果たしているということも証明した。すなわち、臍帯全体を圧迫することにより胎盤から胎仔への酸素供給が低下するため、胎盤に残存する酸素が増え酸素濃度が上昇し、胎仔への酸素の供給が低下するため、胎仔の酸素濃度は低下することが証明された。 これらのことをふまえ平成23年度は、母体および胎仔の酸素動態のみならず、二酸化炭素動態にも注目して動物実験を行った。臨床上、特に新生児の領域では二酸化炭素は強力な血管拡張物質であることが知られており、二酸化炭素が上昇した状態では、脳血流増加などにより脳を虚血から保護する作用を持つことが明らかになってきている。胎児においても同様な作用があると予測されるが、妊娠および分娩時における二酸化炭素の果たす役割は明らかになっていない。そこで、胎仔における二酸化炭素の役割を検討するために妊娠ミニ豚を用いた動物実験を行った。その結果、母体の二酸化炭素濃度を上昇させることにより、胎仔の酸素化状態が改善されることが確認された。母体、胎盤、胎児の循環系において酸素ならびに二酸化炭素の果たしている役割の一部を解明できた。今年度もこの分野において研究をすすめる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胎盤酸素濃度と胎児循環との関連を検討し、胎児循環の悪化が、胎盤酸素濃度の上昇に関与していることを明らかにしてきており、計画はおおむね順調に進行している。また、新たに酸素だけでなく、二酸化炭素についても実験検討の開始が可能となってきている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究をさらに推進するため新たな実験を計画している。また、平成24年度より、これまでの成果を学術雑誌ならびに学会などにおいて発信していく予定である。また、妊婦を対象とした臨床研究も計画する段階になってきていると考え、今後計画していく予定である。
|
Research Products
(2 results)