2010 Fiscal Year Annual Research Report
卵膜を介した胎児・母体間クロストークの分子機構の解析
Project/Area Number |
22591822
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
角井 和代 京都大学, 医学研究科, 助教 (40531067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 啓司 京都大学, 医学研究科, 講師 (10324633)
近藤 英治 京都大学, 医学研究科, 助教 (10544950)
小西 郁生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90192062)
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Keywords | 卵膜 / 成長因子 / 妊娠高血圧症候群 / 胎児発育遅延 / クロストーク |
Research Abstract |
羊水は、胎児・母体両方の状態を反映した情報に満ちている。本研究では、子宮内での胎児・母体間クロストークという視点で、羊水・卵膜を介したシグナル伝達を、胎盤を介した主たる機構を補完する機序としてとらえ、これまでに不明な点の多い卵膜の機能に関して、主に成長因子受容体発現を端緒として解析し、妊娠の恒常性維持や胎児発育さらには各種病態にいかにかかわっているか、また卵膜を構成する羊膜、絨毛膜、脱落膜間の相互作用について検討する。これにより胎児発育や子宮内環境維持における胎盤と羊水・卵膜の役割に関する新たな知見を得ることを目的とした。平成22年度は、同意の得られた正常および妊娠高血圧症候群等の合併症妊産婦より、胎盤、卵膜、羊水、臍帯血及び母体血液を採取し、卵膜組織は、羊膜、絨毛膜、脱落膜に分離してRNAを抽出し、cDNAを作成した。定量PCR法にて各種成長因子およびその受容体mRNAの発現を測定したが、これまでのところneurotrophin受容体、FGF受容体の発現を確認した。また既知の胎盤成長因子であるIGF、PIGFについても併せて測定し、これらの発現を認めた。今後、臍帯血、羊水および母体血液中の成長因子濃度をELISA法にて測定し、妊娠週数や各種病態における変化を検討し、妊娠中の成長因子およびその受容体の発現プロファイルを作成する。一方、ヒト卵膜より羊膜、絨毛膜、脱落膜を分離し、各々の細胞培養系の作製を試みた。現時点で、安定した培養細胞系が得られていないが、今後、各濃度の成長因子を添加して、(1)細胞の増殖、(2)アポトーシスの程度、(3)血管増殖因子の発現、(4)自身の発現に対する効果を検討し、また受容体の選択的阻害剤がある場合はそれを添加することにより、上記の効果が当該成長因子受容体を介しているかを確かめるとともに、その機能についての検討を行う予定である。
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