2011 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜症におけるアロマターゼ遺伝子のエピゲノム修飾解析による早期診断法の開発
Project/Area Number |
22591824
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
伊沢 正郎 鳥取大学, 医学部, 准教授 (50032222)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 文紀 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (40322218)
原田 省 鳥取大学, 医学部, 教授 (40218649)
|
Keywords | 子宮内膜症 / アロマターゼ遺伝子 / CpGアイランド / エストロゲン産生異常 / DNAメチル化 / エピゲノム異常 / 早期診断分子マーカ |
Research Abstract |
子宮内膜症病態の特質の一つであるアロマターゼ遺伝子高発現は、病変組織に高濃度エストロゲン環境をもたらす。私共は、その一因がエピゲノム制御の異常、とりわけDNAのメチル化異常に起因することを強く示唆する研究成果を得た(Izawa et al. 2008)。本年度の研究課題は、早期診断分子マーカーとしての応用を目標に、アロマターゼ遺伝子高発現を賦与するDNAメチル化異常の実体を解明する事を目的とした。そのために、DNAメチル化異常の分子基盤の解明を目標に研究を実施した。その結果、以下の(1)~(3)の成果が得られた。 (1)卵巣チョコレート嚢胞壁より分離調製した初代培養間質細胞(子宮内膜症細胞)のアロマターゼ遺伝子プロモーターの上流に脱メチル化修飾をされた一連のCpG配列を発見した。 (2)このCpG配列は、エンハンサー活性を有し、メチル化によりその活性が抑制される事が明らかになった。 (2)このCpG配列は、内因性のCpG結合タンパクにより認識され、試験管内で核タンパクを認識結合する事を明らかにした。 これらの観察は、本研究により発見したCpG配列の脱メチル化とアロマターゼ遺伝子発現亢進との関連を示唆している。このCpG配列は、子宮内膜症の早期診断分子マーカーとなる可能性がある。いまだ症例は限定的である。症例を重ね検証する事が次年度の継続研究課題である。さらに、発見したCpG配列は、プロモーター遠位に位置し、シス活性エレメントである。この観察は、子宮内膜症におけるアロマターゼ遺伝子発現制御異常の分子メカニズムを解明する新たな次年度の研究課題となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
発見したCpG配列は、子宮内膜症の早期診断分子マーカーとなる可能性がある。しかし、いまだ症例は限定的であり、症例を重ねた検証が必須である。従って、次年度の研究課題として継続する。さらに、当初の目的とは別に、発見したCpG配列が子宮内膜症におけるアロマターゼ遺伝子発現異常に関与することが想定される事から、その分子メカニズム解明が重要研究課題へ発展し、研究の遅れが生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
発見したCpG配列について、子宮内膜症の早期診断分子マーカーとなる可能性を最終判断する。同時に、CpG配列の機能解析に向けた分子基盤を整える。
|
Research Products
(8 results)