2011 Fiscal Year Annual Research Report
単一細胞遺伝子増幅とcDNA再利用定量PCRを用いた卵子形成過程の遺伝子発現解析
Project/Area Number |
22591835
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
持丸 佳之 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80445238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久慈 直昭 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80169987)
浜谷 敏生 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60265882)
福永 朝子 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60464955)
井上 治 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10464976)
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Keywords | 移植・再生医療 / 細胞・組織 / 発生・分化 |
Research Abstract |
哺乳類の卵子細胞質形成過程を、主としてマウスをモデルとした各発育段階卵子の遺伝子発現解析を通して解析する事を目的とする本研究では、本年度、前年度の研究で得られた遺伝子発現解析結果より、パスウェイ解析等を用いて各発生段階で発現量に変化が見られる遺伝子あるいはパスウェイ遺伝子群について、これまで我々が用いてきたTaqman probeを用いたQPCR法により遺伝子発現量の検討を行った。 モデルとして若齢および加齢マウス単一卵子から抽出したmRNAおよびRibo-SPIA法による遺伝子増幅産物を用いて、第一に増幅後産物の遺伝子(両群でマイクロアレイによる解析上発現量に有意差が見られたSTAG2、STAG3、Aurka、Kif22、Anapc11、Ctnnb1、Cfl1、Tlr9)のRT-PCRを行い、マイクロアレイの結果を検証した。その結果、絶対値の比較でも、H1foo、Eef1a、GAPDHを内部標準とした相対的発現量の比較に於いても、差が見られる遺伝子とそうでない遺伝子が見られた。特にCfl1(加齢により発現量低下)、Anapc11(同、低下)、Aurka(同、上昇)について、統計上有意差が確認可能であった。 また28S-ribosomal RNA(以下28S)の内部標準としての有用性を検討した。その結果、28Sribosomal RNAの発現量はOvaryよりも卵で高く、他の遺伝子に比較して個体の加齢による各卵子内での発現量に差が少なく、これまで内部標準としていたEeF1αおよびH1fooの測定値は良好な相関がある事が明らかになった。28Sは卵子の特化した機能には関係がないことから、発育段階の異なる卵子に対して良好な内部標準となる可能性があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
卵子の成熟過程に於ける発現解析は、ほぼ計画立案当初の計画に沿って推移しているが、新しい定量的PCR手法であるcDNA再利用法については、卵子遺伝子発現解析に信頼性を持ったデータを提供することは困難であることが明らかになってきている。ヒト単一卵子での同様な解析については、計画通り最終年度に検討予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、次世代に遺伝子解析法として注目を集めている全遺伝子の直接シークエンス解析法(RNA-seq法)について、卵子で解析を行い、マイクロアレイの結果と比較することにより新たな知見を得る事を試みる。
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[Journal Article] 子宮頸部早期浸潤癌に対するradical abdominal trachelectomy後の妊娠転帰2011
Author(s)
菅原かな, 久慈直昭, 岸見有紗, 西尾浩, 峰岸一宏, 宮越敬, 藤井多久磨, 田中守, 市川義一, 長谷川清志, 青木大輔, 吉村泰典
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Journal Title
日本受精着床学会雑誌
Volume: 28巻2号
Pages: 395-398
Peer Reviewed
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[Presentation] 年齢における卵子ミトコンドリアDNA copy数の重要性2011
Author(s)
村越行高, 末岡浩, 高橋香織, 佐藤卓, 櫻井友義, 渡邊広是, 田島博人, 佐藤健二, 中林章, 久慈直昭, 吉村泰典
Organizer
第56回日本生殖医学会
Place of Presentation
パシフィコ横浜(神奈川県)
Year and Date
20111208-20111209
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[Presentation] 着床前期および未分化維持に関わる新規C2H2-zinc finger遺伝子の解析2011
Author(s)
近澤奈々, 浜谷敏生, 山田満稔, 阿久津英憲, 奥村典子, 小川誠司, 菅原かな, 井上治, 福永朝子, 久慈直昭, 吉村泰典
Organizer
第52回哺乳動物卵子学会
Place of Presentation
国際福祉大学本校(栃木県)
Year and Date
20110521-20110522
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[Book] 【社会医学的ハイリスク妊娠とその対策】不妊治療後の妊娠とその予後2011
Author(s)
久慈直昭(慶応義塾大学医学部産婦人科学教室), 井上治, 福永朝子, 菅原かな, 小川誠司, 奥村典子, 内田明花, 山田満稔, 佐藤卓, 浜谷敏生, 吉村泰典
Total Pages
375-382
Publisher
産婦人科治療