2010 Fiscal Year Annual Research Report
精子品質管理による不妊治療の安全性向上ー精子頭部空胞とDNA損傷の関連性解析
Project/Area Number |
22591837
|
Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
兼子 智 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (40214457)
|
Keywords | ヒト精子 / DNA / 電気泳動 / DNA断片化 / DNA fiber |
Research Abstract |
本年度は、固相上に固定した精子を融解した後に電気泳動を行い、分離されたDNA断片を直接顕微鏡観察する方法を開発することを目的とした。スライドグラス上に固定した精子を溶融アガロースで被覆、固化した。さらにトリプシン、DTT、ヘキサ6リン酸、ポリリン酸、トライトンX100を含む溶液に浸漬して細胞を融解した。予備的検討の結果、検出されるDNA断片の鎖長が広範囲に分布するため、単一の泳動条件では断片の網羅的解析が困難であることが確認された。そこで断片の鎖長別に2種の泳動法を開発した。すなわち、1セットの電極を有する単軸型電気泳動法、交差する2セットの電極を有するsingle cell pulse field gel electrophoresis(SCPFGE)を開発した。 融解処理された精子はゲル内であたかもウニの刺状に周囲にDNA fiberが突きだした状態を示すものと、電圧を印加(電気泳動)しないにも関わらず周囲にDNA断片が拡散した像を示すものに大別された。電気泳動することなく周囲に拡散したDNA断片は、アガロースの網目構造を自由に通り抜けて拡散可能なレベルの短鎖DNAであり、高倍率で検鏡しても粒子としては観察できなかった。これらをSCPFGEで電気泳動すると、前者は原点からDNA fiberが伸張する像を示したが、後者では種々の長さのDNA断片が泳動される像を示した。SCPFGEにより引き出されたDNA fiberの先端を高倍率で顕微鏡観察すると、伸張したDNA fiberの先端より先に切断された長鎖DNA断片が観察されるものが存在した。長鎖DNA断片に関しては、電気泳動法によるDNA断片の分離(引抜き)は断片数の観察が可能であり、理論上は1本のDNA断片が観察可能である。
|