2010 Fiscal Year Annual Research Report
子宮体癌のオーダーメイド治療を目指したリンパ節転移の予測の試み
Project/Area Number |
22591843
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
首藤 聡子 北海道大学, 病院, 助教 (10399892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻木 範明 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70153963)
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Keywords | 婦人科腫瘍学 / 子宮体癌 / バイオマーカー / リンパ節転移 |
Research Abstract |
子宮体癌においてリンパ節転移の有無は重要な予後因子であり,後腹膜リンパ節郭清は臨床進行期の正確な決定と術後補助療法の個別化に重要な役割を担っている反面,術後の後遺症をおこしうる. 本研究の目的は,臨床パラメータに加えより正確にリンパ節転移を予測するため,子宮体癌リンパ節転移のバイオマーカーとなりうる遺伝子の検索をマイクロアレイおよびリアルタイムPCRをもちいて行うことである.われわれはすでにKIAA1641,ANKRD36,VPS13A,CROP(cisplatin resistance-associated overexpressed protein), MLAT-1の5遺伝子を選別しており,これらが子宮体癌におけるリンパ節転移バイオマーカーとなりうるかについて臨床検体を用いて検証を行った. 初年度は症例数を増やし,ANKRD36(KIAA1641と同一遺伝子であることが証明された),VPS13A,CROP,MALAT-1の4遺伝子のリアルタイムPCRを施行した.結果は,すべての遺伝子において,リンパ節転移陰性群に比べ,リンパ節転移陽性群で発現が亢進していることが確認された.また,理論的タンパクであるANKRD36に対するペプチド抗体を作成し,抗ANKRD36ペプチド抗体と抗CROP抗体を用いて子宮体癌の原発巣とリンパ節転移巣の免疫染色を施行した(リンパ節転移陰性5例,陽性4例).ANKRD36の染色強度はリンパ節転移陽性症例で強い傾向にあったが,CROPでは染色性とリンパ節転移状態との間に関連を認めなかった. 初年度研究の結果を総括すると,リンパ節転移を有する子宮体癌組織で有意にRNA発現が亢進している4遺伝子のうち,子宮体癌組織におけるANKRD36タンパクとCROPタンパクの局在が証明され,この2タンパクがリンパ節転移バイオマーカーとなりうる可能性が示唆された.
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