2011 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜症のSF-1プロモーター領域におけるDNAメチル化の検討
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22591845
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
海法 道子 東北大学, 病院, 助教 (50531331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇都宮 裕貴 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (10359507)
星合 哲郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (10569560)
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Keywords | 子宮内膜癌 / レチノイン酸 / エストロゲン受容体 / 初代培養細胞 |
Research Abstract |
患者の同意を得て採取した卵巣子宮内膜症性嚢胞・正常子宮内膜および子宮内膜症を伴う正常子宮内膜組織の間質細胞をそれぞれ初代培養しストックした。子宮内膜症腹膜病変に関しては検体量が少なく十分な培養が行えなかった。今後引き続き症例の集積を図る。 次に、採取した検体を用いてreal-time PCR法とImmunoblotting法でSF-1の発現を検討したところ、従来からの報告と同様に卵巣子宮内膜症性嚢胞では高発現、子宮内膜症を伴う正常子宮内膜組織では低発現、正常子宮内膜では全く発現を認めないため検体として適切であることを確認した。 さらに初代培養細胞より抽出したゲノムDNAをBisulfate処理し、SF-1プロモーター領域のシークエンスを確認し、培養細胞間におけるメチル化の差異を比較検討したところ、正常子宮内膜細胞では8割近くのCpG islandがメチル化されているのに比し子宮内膜症細胞ではわずか2割程度しかメチル化されていなかった。このことより、SF-1発現は正常子宮内膜ではメチル化により抑制されていたが、脱メチル化されることにより子宮内膜症細胞において過剰発現している可能性が示唆された。 また、正常子宮内膜細胞を5-aza-dC処理しSF-1プロモーター領域を脱メチル化したところ、SF-1の発現が上昇した。このことからも、SF-1プロモーター領域のメチル化がSF-1発現制御に関するkey factorであると推察される。 StARおよびアロマターゼは局所におけるエストロゲン活性を制御する重要な酵素で、それらはSF-1により発現が制御されている。今後、StARおよびアロマターゼの発現量の変化に関しても各培養細胞で検討し、子宮内膜症および正常子宮内膜における局所エストロゲン活性の制御機構について実験計画に沿って研究を継続していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者の同意を得た検体の採取およびデータ集積は順調に進んでいる。また、採取された検体は実験に適切であることも確認されている。最初に仮説として定義した「メチル化によるSF-1発現制御」の可能性が強く示唆される結果が得られており、今後も仮説に基づいた実験計画の遂行が可能な状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、SF-1に着目したメチル化が与える局所におけるエストロゲン活性制御機構の検討を行う。具体的には、メチル化・脱メチル化による局所エストロゲン合成酵素の発現および細胞増殖能、エストロゲン合成能などを検討する。次に、SF-1プロモーター領域のconstructを作成し、正常子宮内膜細胞において広範囲にメチル化された領域のどこがSF-1発現制御のkeyとなるか検討していく。 子宮内膜症腹膜病変に関しては検体量が少なく実験に必要な細胞量が得られていない。今後引き続き症例の集積を図る。
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