2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591846
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松本 光司 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (30302714)
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Keywords | ヒトパピローマウイルスhuman papillomavirus(HPV) / 子宮頸癌cervical cancer / 子宮頸部上皮内腫瘍cervical intraepithelial neoplasia(CIN) / low-grade squamous intraepithelial lesion(LSIL) |
Research Abstract |
子宮頸癌の原因ウイルスであるヒトパピローマウイルス(HPV)のウイルスDNA検出検査や抗体検査が、子宮頸部前癌病変患者のフォロー・アップなどの実地臨床に有用であるかどうかを検討することを目的として研究を行っている。多施設共同研究として行われた子宮頸部細胞診軽度異常(LSIL:low-grade squamous intraepithelial lesion)の患者570名のフォローアップ・データの解析から、子宮頸部から検出されるHPVの型がその後の高度前癌病変(CIN3:cervical intraepithelial neoplasia grade 3)への進展リスクと密接に関連していることがわかった。このことはHPVDNA型判定法がLSIL患者の経過観察において大いに役立つことを示している。この成果はInternational Journal of Cancerで英文論文として報告される予定である(in press)。これらの患者を対象にHPVに対する中和抗体の測定とその結果の解析を進めている。HPV16 DNA陽性のLSIL患者42名のなかで、中和抗体陽性者で病変が存続しやすい傾向がみられたが、有意差はなかった(log-rank test,P=0.24)。一方、CIN3へ進展した6名はすべて中和抗体陽性であり、進展リスクには有意差を認めた(log-rank test,P=0.03)。中和抗体はそれまでの持続感染による抗原刺激を反映して産生されると考えられ、LSIL患者におけるHPV血清中和抗体の測定はCIN3への進展リスクの評価に役立つ可能性がある。この中和抗体研究の結果については、現在論文投稿準備中である。
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Research Products
(4 results)