2010 Fiscal Year Annual Research Report
肥満が子宮体癌の発症・進展に関与する新たな分子機構の解明
Project/Area Number |
22591849
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
八幡 哲郎 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90293232)
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Keywords | 子宮体癌 / 肥満 / アディポサイトカイン / レプチン / アディポネクチン |
Research Abstract |
肥満が子宮体癌の発症・進展に関与する新たな分子機構を明らかにすることを目的に、脂肪細胞から分泌されるadipocytokineに注目し、平成22年度は以下の検討を行った。 「adipocytokineは子宮体癌発症の独立した危険因子か?」 閉経後の子宮体癌患者150名を対象とし、治療前(手術前)に血液を採取し、血中leptinとadipnectinをELISA法にて測定した。対照群として、悪性腫瘍の既往のない、年令をマッチさせた健康女性150名より、同様に採血を行った。子宮体癌患者のbody mass index(BMI)の平均値は23.7であり対照群の22.0より有意に高値であった。また高血圧、糖尿病の合併率も子宮体癌患者において有意に高率であった。血清のleptin値は体癌患者においては平均8.2ng/mlと対照群の4.5ng/ml比較して有意に高値であり、adiponectinは体癌患者の6218μg/mlに対して、対照群では8979μg/mlと有意に高値であった。両者の比をとったleptin/adiponectin(L/A ratio)は、体癌群で2.05、対照群で0.98と体癌群で有意に高値であった。LeptinおよびL/A ratioはBMIや耐糖能の指標であるHOMA-R、空腹時血糖値と有意な相関を示した。子宮体癌の発症リスクを、leptin、adiponectin、L/A ratioに対して解析したところ、そのOdds ratio(OR)はL/A ratioが最も高く、最高三分位点以上の症例ではの最低三分位点の症例と比較してORは6.0であった。ORは年令、BMI、高血圧、糖尿病の有無で補正を行っても5.5と有意に高値であり、L/A ratioは肥満とは独立した危険因子となっていることが示された。
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