2011 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜癌の浸潤、転移に関わる癌遺伝子と癌幹細胞の相関解析
Project/Area Number |
22591855
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 征巳 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60303963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 隆之 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90283754)
吉野 潔 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (90362730)
上田 豊 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10346215)
木村 敏啓 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90584524)
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Keywords | 子宮内膜癌 / 浸潤 / 転移 / 癌幹細胞 / CIOS / 化学療法 |
Research Abstract |
TSC403遺伝子の発現の解析については、更に症例を追加し検討を行った。正常子宮内膜組織および子宮内膜増殖症ではその発現の程度は低く、子宮内膜癌組織でより発現の程度が高い傾向を認めた。Competitive PCR(PCR-MIMIC)法によるTSC403遺伝子の増幅については、明らかな増幅を認めた症例はなかった。 TSC403遺伝子高発現の認められる子宮内膜癌培養細胞株を樹立し、これらを用いてIn vitroにおける癌細胞の浸潤能との相関について解析を行った。また、正常子宮内膜組織検体と子宮内膜癌組織検体における蛋白質発現についてiTRAQ法を用いて比較し、内膜癌組織において共通して発現が増強または減弱していた蛋白質の候補をそれぞれいくつか同定しえた。これらの候補蛋白質について、その機能と腫瘍の増殖・浸潤・転移・抗がん剤薬剤感受性との相関を解析している。 子宮内膜癌における癌幹細胞の解析は、まず数例の子宮内膜癌組織を処理し、CD133+を幹細胞表面マーカーとしFACS flow cytometryにより細胞の選別を行った。分離された癌幹細胞の候補を無血清培地で継代培養の系を樹立したが、その培養継続については困難であった。 癌幹細胞の候補の継代培養を試みるのと並行して、子宮内膜癌組織より、癌細胞からの新しいがん細胞調整法CTOS : cancer tissue-originated spheroid (Proc Natl Acad Sci USA,2011;108(15):6235-40.)を試み、その結果、細胞間の接着(cell-cell contact)を維持した状態で球状(Spheriod)の培養細胞(CTOS)を得ることが、子宮内膜癌において成功した。CTOSは、原発巣がもつ多くの形質を保持しており、培養細胞(CTOS)上およびマウスで再形成させた腫瘍も、原発巣と非常に近似した組織像を示す。CTOSは、抗がん剤等のin vitro薬剤感受性試験(スクリーニング)へ応用可能であり、ヌードマウス皮下の移植により原発巣と非常に近似した腫瘍を再形成することを用いて、in vivo薬剤感受性試験(スクリーニング)への応用も可能と考えられる。したがって、本研究により、子宮内膜癌の新たな癌発症メカニズムの解析、治療法の開発に貢献が可能と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
TSC403遺伝子の発現解析は、症例を追加しその検討は検討をおおむね順調に進展している。iTRAQ法を用い、内膜癌において発現が増強または減弱していた蛋白質の候補を同定しえた。これらの候補蛋白質について、その機能と抗がん剤薬剤感受性の解析へと研究は展開している。子宮内膜癌における癌幹細胞の解析は、癌幹細胞候補の選別が可能であり、分離された癌幹細胞候補の継代培養の系を樹立したが、その培養継続は困難であった。並行して、癌細胞からの新しいがん細胞調整法CTOS : cancertissue-originated spheroid (PNAS 2011;108(15):6235-40)を試み、細胞間の接着(cell-cell contact)を維持した状態で球状(Spheriod)の培養細胞(CTOS)を得ることに、子宮内膜癌において成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
iTRAQ法により同定した、内膜癌組織において発現が増強または減弱していた蛋白質の候補について、今後その機能と抗がん剤薬剤感受性との相関の解析を行なっていく。子宮内膜癌における癌幹細胞の解析は、分離された癌幹細胞候補を無血清培地で継代培養の系を樹立したが、その培養継続については困難であり、培養条件などを検討して引き続き行なう。 子宮内膜癌組織より、癌細胞からの新しいがん細胞調整法CTOS : cancer tissue-originated spheroidを試み、の培養細胞(CTOS)を得ることに、子宮内膜癌において成功したので、今後は症例を追加すると共に、ヌードマウス皮下の移植により腫瘍の再形成を確認すること、抗がん剤のin vitro薬剤感受性試験(スクリーニング)を行なっていく。
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[Journal Article] Investigating the relative efficacies of combination chemotherapy of paclitaxel/carboplatin, with or without anthracycline, for endometrial carcinoma2011
Author(s)
da Y, Kimura T, Yoshino K, Fujita M, Miyatake T, Ohta Y, Kamiura S, Enomoto T, Kimura T
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Journal Title
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Chemotherapy for endometrial carcinoma (GOGO-EM1 study) : TEC (paclitaxel, epirubicin, and carboplatin) is an effective remission-induction and adjuvant therapy2011
Author(s)
Egawa-Takata T, Ueda Y, Kuragaki C, Miyake T, Miyatake T, Fujita M, Yoshino K, Nakashima R, Okazawa M, Tsutsui T, Morishige K, Kimura T, Yamasaki M, Nishizaki T, Nagamatsu M, Ito K, Asada M, Ogita K, Wakimoto A, Yamamoto T, Nishio Y, Enomoto T
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Journal Title
Cancer Chemother Pharmacol
Volume: 68
Pages: 1603-1610
DOI
Peer Reviewed
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