2010 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオーム解析による子宮内膜症からの卵巣癌発生機序の解明
Project/Area Number |
22591861
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
川口 龍二 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (50382289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 浩 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40178330)
山田 嘉彦 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80275346)
吉澤 順子 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (80526723)
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Keywords | 卵巣明細胞腺癌 / HNF-1beta / マイクロアレイ / 細胞周期 / 酸化ストレス / 卵巣子宮内膜症性嚢胞 / 癌化 / チェックポイント機構 |
Research Abstract |
卵巣癌培養細胞のマイクロアレイによる遺伝子解析により、明細胞腺癌で発現が変化している遺伝子群を抽出すると、Detoxification、Protease、Adhesion、Transcription factor、Metabolism、Cell cycleなどに関与する遺伝子が過剰発現していることが明らかになった。これらの遺伝子のうち酸化ストレスに関与する遺伝子群は過剰発現した遺伝子全体の87%であった。また過剰発現した遺伝子全体の40%がHNF-1betaのターゲット候補遺伝子であることが判明した。つまり、明細胞腺癌の遺伝的特性を決める因子として、酸化ストレスとHNF-1betaが重要な役割を担っていると考えられた。 発癌メカニズムの一つとして、cell cycle関連遺伝子の異常があげられる。マイクロアレイによりHNF-1betaがcell cycle関連遺伝子を制御していることが明らかとなった。卵巣子宮内膜症性嚢胞におけるHNF-1betaの過剰発現が、cell cycleの異常をきたし悪性化に関与している可能性が考えられた。そこで、卵巣明細胞腺癌培養細胞にHNF-1betaのsiRNAを導入しノックダウンし、cell cycleに対する影響を調べた。HNF-1beta(+)群では常にG2/M期集団がHNF-1beta(-)群より多い傾向を認めた。これはHNF-1betaの発現によりG2/M期に留まる細胞数の増加を意味し、G2/M期チェックポイント機構の異常が示唆された。チェックポイント機構の異常は、遺伝子変異監視機能の低下をきたし、腫瘍発生および進展の原因となりる。今後は、HNF-1betaがチェックポイント機構に異常をきたす機序を明らかにし、卵巣子宮内膜症性嚢胞の悪性化を証明する。
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Research Products
(3 results)