2011 Fiscal Year Annual Research Report
マウス蝸牛microRNA発現解析による老人性難聴発症機構の解明
Project/Area Number |
22591876
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
野口 佳裕 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (50282752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 正時 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (80401355)
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Keywords | 老人性難聴 / 加齢 / マイクロRNA / マウス / 発現解析 |
Research Abstract |
microRNA(miRNA)は約22塩基対より成る二重鎖非翻訳性RNAである。ターゲットとなるmRNAの翻訳抑制、分解を担う重要な遺伝子調節因子であり、種々の疾患や加齢性変化に関与する。本研究では、老人性難聴モデルマウスC57BL/6を用い、老人性難聴に関連する特異的なmiRNAを同定し、今日の高齢化社会における重要な課題である老人性難聴の予防と治療を目的とする。 1カ月齢18匹36耳、10カ月齢18匹36耳、16カ月齢15匹30耳からmiRNAを含む全RNAを抽出し、Agilent2100バイオアナライザーにて品質チェックを行った。発現解析にはmiRCURY LNA microRNA Arrayを用い、各月齢3つのmiRNAプロファイルを作成した。これらのmiRNAプロファイルに対する非階層クラスター分析(どれか1つの比較でRatio≧1.5あるいは≦0.66)により6つのクラスターに分類され、12遺伝子(クラスター1)、3遺伝子(クラスター2)、15遺伝子(クラスター3)、5遺伝子(クラスター4)、2遺伝子(クラスター5)、5遺伝子(クラスター6)、計42の候補となる加齢性難聴関連miRNAを同定した。同定されたmiRNAには常染色体優性遺伝性難聴DFNA5と難聴マウスdiminuendoの原因遺伝子miR-96、内耳有毛細胞やラセン神経節に発現し有毛細胞の分化、成熟に関連すると考えられるmiR-183およびmiR-182、アポトーシスに関連するmiR-29が含まれていた。1、10、16カ月齢の全RNAに対するmRNA発現プロファイルの作成も終了しており、現在解析が進められている。今後は、miRNAとmRNAデータの統合解析を行うことで、ターゲットとなる遺伝子群の同定が可能になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つの月齢に対する非階層クラスター分析が終了し、加齢性難聴に関連するmiRNAを同定することができた。また、mRNAにおいても発現プロファイルの作成が今年度に終了し、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
非階層クラスター分析により得られた42の加齢性難聴関連miRNAの中でEMBL-EBIからターゲット遺伝子を検索できるmiRNAに対して、mRNA発現プロファイルとの間で統合解析を行い、加齢性難聴に関連する遺伝子群を同定する。
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Research Products
(1 results)