2011 Fiscal Year Annual Research Report
内耳疾患特異的iPS細胞を用いた新しい内耳病態解析モデルの確立
Project/Area Number |
22591878
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 隆之 京都大学, 医学研究科, 講師 (50335270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北尻 真一郎 京都大学, 医学研究科, 助教 (00532970)
坂本 達則 京都大学, 医学研究科, 助教 (60425626)
山本 典生 京都大学, 医学研究科, 助教 (70378644)
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Keywords | iPS細胞 / 遺伝性難聴 / 内耳再生 / 感音難聴 / 幹細胞 |
Research Abstract |
1)iPS細胞から誘導した内耳細胞の機能評価:本研究では、iPS細胞から内耳細胞への分化誘導方法として、Oshima et al.2011の報告に準じた3段階からなる方法を基本とし、培養誘導方法の至適化のための研究を施行した。この分化誘導方法は、iPS細胞から外胚葉への誘導を浮遊培養で行う第1段階、bFGF存在下で接着培養を行いPax2陽性細胞を誘導する第2段階、幼鶏卵形嚢間葉系細胞との共培養による有毛細胞への分化を誘導する第3段階からなる。安定した割合でPax2陽性細胞を得ることを目的とし、第1,2段階の条件を検討したが、同じ由来の細胞を用いた場合でも大きなばらつきが生じ、コントロールとしてマウスES細胞牽用いた場合でも、安定性に欠ける結果が得られた。第1段階の培養期間を短縮することにより、結果のばらつきを小さくすることができないかを解析中である。第3段階である有毛細胞の分化誘導については、できるだけ多くの有毛細胞を得ることを目的とし、胎生期の内耳である耳胞を用いた実験を行った。結果、幼鶏卵形嚢間葉系細胞との共培養よりも通常のゼラチンコートでの培養の方が有毛細胞誘導効率が高く、有毛細胞の増加を誘導できる添加薬物の候補が分かった。現在、iPS細胞由来の細胞に対する効果を検証中である。 2)難聴遺伝子変異マウス由来iPS細胞実験:TRIOBP変異マウス胎仔皮膚線維芽細胞にレトロウイルスを用い、4因子導入法にてiPS細胞を作製し、発現マーカーの確認を行った。奇形種形成を確認する移植実験施行中である。上記の第1,2段階の培養誘導実験を施行し、Pax2陽性細胞が誘導されることが認められた。 3)in vivoとの比較による再現性評価:準備実験として、TRIOBP変異マウスにおける支持細胞、ラセン神経節細胞変性について解析したが、特異的といえる所見は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
評価対象となる遺伝性難聴モデルマウスからのiPS細胞が樹立できており、問題となる内耳への分化誘導方法についても適格な材料を用いて、システマティックに条件の至適化が進行している。本研究で用いるモデルマウスでは、有毛細胞の感覚毛の基底部に特徴的な変化が出現するため、有毛細胞の分化誘導が最も重要となるが、一定数の有毛細胞の分化誘導はすでにできており、現在行っている培養条件の解析により、詳細な有毛細胞の解析が可能なサンプル数が確保できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、遺伝性難聴モデルマウスを用いて、疾患特異的iPS細胞を用い、感音難聴病態解析の可能性を明らかにすることを目的としている。計画通りに研究を進めることにより、マウスモデルでどこまで解析できるかを明らかにすることができると予測されるが、並行して、ヒトiPS細胞での基盤となる知見を獲得するために、進捗状況に応じて、ヒトiPS細胞を用いた実験にも着手する。
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Research Products
(12 results)