2010 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚におけるペリニューロナルネットの役割-聴覚伝導路特異的Bral2の機能解析-
Project/Area Number |
22591879
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
別宮 洋子 岡山大学, 医学部, 技術専門職員 (60397875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 俊孝 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (50194262)
大塚 愛二 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50168986)
百田 龍輔 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (80263557)
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Keywords | 神経科学 / 聴覚伝導路 / 細胞外マトリックス / プロテオグリカン / ペリニューロナルネット |
Research Abstract |
Bral2は、リンクプロテイン(LP)の一種で、ヒアルロン酸(HA)結合型コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)およびHAとともに複合体を形成する。LPは、その複合体形成及び安定化に必須の分子であると考えられている。Bral2は、CSPGの中でもブレビカンと共局在する事がわかっている。これらは、成体脳ではペリニューロナルネット(PNN)と呼ばれる、神経細胞周囲の網目状構造に存在する。 本研究では、聴覚伝導路において、Bral2複合体のシナプス伝達への関わりを1)シナプスの固定、2)イオンプールとしての可能性、3)イオンチャネルとの分子間相互作用という観点から解析し、聴覚伝導のメカニズムの一端を解明する事を目的とした。 (I)Bral2欠損マウスにおける神経細胞体への影響(大塚・別宮) Bral2欠損マウスにおいて、PNNを構成するCSPG複合体構成分子が小脳核では局在できないことがわかっている。この神経核においてシナプスの接着等に何らかの形態的変化がないかを、電子顕微鏡での観察によって詳細に調べた。その結果、Bral2の小脳核において、単位面積当たりにおけるシナプス数が有意に減少していることが確認された。 (II)Bral2タンパクの発現機構(百田・大橋) Bral2は、in situ hybridization等の結果から、mRNA発現神経細胞が投射した先の神経周囲にタンパクを産出していることが示唆されている。この発現機構を調べるために、Bral2のリコンビナントタンパクを神経細胞に発現させ、軸索輸送により投射先にタンパクが発現されるのかを解析したところ、確かに軸策輸送が観察された。軸索輸送に関与していると予測された配列を欠くリコンビナントタンパクも発現させたが、その配列によるものではないという結果が得られた。 (III)Bral2欠損マウスにおけるCSPG複合体構成分子への影響(別宮) Bral2欠損マウスにおいて、聴覚伝導路におけるCSPG複合体構成分子が、各神経核または神経のサブタイプで異なる変化を示すという結果を得た。ブレビカンは、Bral2欠損マウスにおいてPNNパターンを維持できないことから、その局在はBral2に依存していることがわかった。これらCSPGの構成に関して、解析が単純であるランビエ絞輪においてその不均一性を更に解析し、その結果を論文にまとめた。現在印刷中である。
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