2010 Fiscal Year Annual Research Report
感覚細胞、神経血管系修復による加齢性内耳障害の予防、治療法開発の分子生物学的研究
Project/Area Number |
22591881
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
工田 昌也 広島大学, 病院, 講師 (00179590)
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Keywords | 内耳 / 老人性難聴 / めまい / エストロゲン / プロスタグランジン / TRPチャネル / マウス |
Research Abstract |
本年度は研究計画に従い、基礎的検討として正常動物でプロスタグランジンレセプター(PR)、エストロゲンレセプター(ER)、TRPチャネルの内耳での発現を検討した結果、今回、8種類のPRのすべてが程度の差はあれ内耳のいずれかの部分に存在することが明らかとなった。中でもEP_4、FP、IPは内耳の多くの部位で強く発現しており、これらのPRが内耳機能に強く関連していることが推察された。ERについては内耳にERα、βが発現しており、高齢マウスでは両者ともに発現が低下し、これが高齢者のめまいや難聴の発現に関与していると考えられた。また、内耳では28個全てのTRPチャネルが存在し、内耳での感覚細胞の興奮伝達、水分代謝の恒常性の調節に働くと共に、内耳障害児には内耳障害の保護にも働いていることが明らかとなった。さらに、老齢動物を用いた検討で老齢動物ではSOD、Klotho蛋白、TRPV5、TRPV6の内耳での発現が低下しフリーラジカルによる障害がきたしやすくなる状況が生じることが明らかとなった。一方で、病態モデル動物として内リンパ水腫だけでなく実際にめまいを生じる新しい動物モデル(メニエール病マウス)を開発し、めまい発作の発症機序を明らかにした。臨床的検討としては、老人性難聴の患者に対して、抗酸化剤(ビタミンC、レバミピド、α-リポ酸)による治療を長期間にわたって行なった症例を集積し、次年度以降の解析の準備を行った。本年度の基礎的検討の結果は今回、初めて得られた知見であり、加齢性内耳障害に対する治療を開発する上で非常に重要であると考えられた。これらの結果は、第20回日本耳科学会、第69回日本めまい平衡医学会で発表されたと同時に、4編の論文にまとめられた。
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Research Products
(6 results)