2012 Fiscal Year Annual Research Report
感覚細胞、神経血管系修復による加齢性内耳障害の予防、治療法開発の分子生物学的研究
Project/Area Number |
22591881
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
工田 昌也 広島大学, 病院, 講師 (00179590)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 内耳 / 老人性難聴 / めまい / アクアポリン / バゾプレッシン / 抗酸化剤 / 治療 |
Research Abstract |
本年度は最終年度として、研究計画に従い、基礎的検討として正常動物ですべてのアクアポリン(AQP0-12)の前庭器での発現を検討した結果、前庭暗細胞、移行上皮など水分輸送に関係する部位でAQP0-12の発現が認められ、蝸牛や内リンパ嚢と同様に前庭器でもAQP0-12が水代謝に関与することが示唆された。さらに前庭感覚細胞や、神経節細胞においてもAQPが出現しており、これらが内耳での感覚伝達に関与していると考えられた。また、今回、バゾプレッシン(VP)の慢性投与により内リンパ水腫モデル動物を作製したが、高度の内リンパ水腫の発現にはVPの増加に加え内リンパ嚢の閉塞、機能不全などの吸収障害が必要であると考えられた。さらに、マウスの種差により内リンパ水腫の形成の程度に差があることが明らかとなった。具体的には有色動物に比較してアルビノ動物では内リンパ水腫の発現が強く、VPによる内リンパ水腫の形成にもメラニンが保護的に働いていることが考えられた。臨床的検討としては、老人性難聴の患者に、抗酸化剤による治療を長期間にわたって行なった症例を集積し、抗酸化剤が老人性難聴の治療のみならず予防にも有効であることを示した。さらに、高齢者のめまいの薬物療法についての総説を一般診療家向けに作成した。本年度の基礎的検討の結果は今回、初めて得られた知見であり、加齢性内耳障害に対する治療を開発する上で重要であり、臨床的検討は今後の老人性難聴の予防に大きく役立つ。これらの結果は、第22回日本耳科学会、第71回日本めまい平衡医学会で発表されたと同時に、3編の論文にまとめられた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)