2011 Fiscal Year Annual Research Report
メニエール病発症におけるβアドレナリン受容体の役割に関する研究
Project/Area Number |
22591883
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
森 望 香川大学, 医学部, 教授 (90124883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 貢佐 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (40568838)
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Keywords | ラット内リンパ嚢 / 上皮細胞 / 中間部 / アドレナリン受容体 / RT-PCR / 免疫組織学 / β_2-AR / β_3-AR |
Research Abstract |
今までの電気生理学的、薬理学的研究から内リンパ嚢はカテコールアミンのβ作用(β_2作用)を受けることがわかっていたが、アドレナリン受容体(AR)が内リンパ嚢のどこに存在するかは不明であったので、今回、RT-PCRおよび免疫組織化学的手怯によりラット内リンパ嚢におけるARの同定を行った。 laser papture microdissection (LCM)を使用して、内リンパ嚢上皮細胞のみを採取したサンプルのRT-PCRからはα_<1a>-,α_<1b>-,α_<2a>-,α_<2b>-,β_1-,β_2-,β_3-ARsの発現が認められた。免疫組織化学では内リンパ嚢上皮細胞(中間部)にはβ_2-AR,β_3-ARのみの免疫蛍光反応が観察され、β_2-ARはかなり強い反応が認められ、β_3-ARの反応はβ_2-ARより弱かった。内リンパ嚢上皮細胞(中間部)にβ_2-ARが強く検出されたことは、電気生理学的、薬理学的研究結果と一致するものであり、内リンパ嚢上皮細胞がβ_2-ARを介して、カテコールアミンの作用を受けていることをさらに補強するものと考えられる。 内リンパ系組織のひとつである蝸牛血管条ではβ_3-ARの発現は認められていないので、今回、内リンパ嚢上皮ではβ_3-ARが同定されたことは、同じ内リンパ系組織でも内リンパ嚢は蝸牛とは異なった機能を有している従来の考え方を支持するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
内リンパ嚢の機能低下はメニエール病発症の大きな要因の一つと考えられており、従来の電気生理学的、薬理学的研究からストレスが内リンパ嚢上皮細胞のアドレナリン受容体(AR)を介して、機能低下を起こすが推察されていた。今回、RT-PCR、免疫組織化学的研究から内リンパ嚢上皮細胞でのβ_2-ARの存在が確かめられたことは上記の考えを支持するものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの研究にて、ストレスが内リンパ嚢上皮細胞のアドレナリン受容体(AR)を介して、内リンパ嚢の機能低下を起こし、内リンパ圧を上昇させ、蝸牛、前庭・半規管の機能異常を引き起こすことが分かってきた。今後、内リンパ嚢上皮細胞のβ_2-ARがどのように内リンパ嚢におけるイオン輸送異常を起こすかを調べていく必要がある。また、メニエール病患者ではβ_2-ARの異常がみられないか、遺伝子学的手法を用いて、調べていく予定である。
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Research Products
(4 results)