2011 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザ菌の感染性免疫寛容に伴う慢性炎症化機序の解明
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22591885
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
平野 隆 大分大学, 医学部, 講師 (20305056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 正志 大分大学, 医学部, 教授 (60211314)
前田 一彦 大分大学, 医学部, 助教 (70527738)
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Keywords | 慢性炎症 / 中耳炎 / Th17細胞 / インフルエンザ菌 |
Research Abstract |
1.中耳局所におけるTリンパ球の集簇 感染後3日目から2ヶ月まで中耳所見上、全例に中耳貯留液を認めている。Thy1.2免疫染色において、経時的に中耳粘膜下層の血管周囲中心に濃染細胞を認めており、2週目以降2ヶ月にわたり中耳粘膜下組織におけるThy1.2陽性細胞細胞浸潤を認め、経時的な増加を認めた。 2.フローサイトメトリーによる中耳粘膜由来リンパ球の解析 正常中耳では中耳由来の単核球のうち、CD3陽性Tリンパ球は33.6%であったが、感染後3日目から2ヶ月までCD3陽性Tリンパ球は漸増し、2ヶ月目においては64.6%がCD3陽性Tリンパ球であった。CD3陽性T細胞のうち、CD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞、CD4CD8共陰性T細胞(多くはγδT細胞を示す)の割合を経時的に比較検討したところ、正常中耳粘膜ではCD4CD8共陰性T細胞は24.1%と低値であり、CD4陽性T細胞が48.4%と優位であったが、2ヶ月目においてはそれぞれ35.9%と51.4%と増加した。一方、CD8陽性T細胞は減少した。次に、IL-17産生Th細胞であるTh17細胞とIL-17産生γδT細胞につき検討を行ったところ、正常中耳粘膜ではTh17細胞およびIL-17産生γδT細胞はそれぞれ1.1%と2.7%であったが、感染後3日目より著明にIL-17産生細胞の増加を認め、Th17細胞は2ヶ月目まで7.8~9.7%に増加した。また、IL-17産生γδT細胞は14.1~19.5%にまで増加した。 3.中耳貯留液中のサイトカイン濃度および中耳粘膜由来単核球におけるIL-17mRNAの表出 今回、中耳炎における炎症性サイトカインのうち、IL-17濃度について計測を行っている。IL-17において感染後3日目では平均13.5pg/mlであり、上昇を認めないものの、2週目以降において著明に上昇し、平均128pg/mlであり、2ヶ月目においても113pg/mlであった。IL-17mRNAの表出においても同様の傾向を認めており、感染後2週目以降2ヶ月にかけて上昇しており、正常中耳と比較して明らかなIL-17mRNAの表出増加を認めた。 以上の結果から中耳粘膜におけるTh17細胞やIL-17産生γδT細胞が中耳局所の慢性炎症に関与している事が推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
慢性炎症モデルにおいて、順調に制御性T細胞の動態、Th17細胞の動態につき検討できるデータがでているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今まで、制御性T細胞とTh17細胞の慢性炎症における動態を検討したところ、慢性炎症に何らかの修飾を行っていることが判明しており、両者のバランスにより炎症動態が左右されている可能性が示唆されている。制御性T細胞もTh17細胞もナイーブT細胞からの分化にはTGF-βの刺激が必要であり、IL-6の有無により方向性が決定されている。今後は炎症病態におけるIL-6の関与およびstat-3などの細胞内伝達因子の解析により、慢性炎症性病変の遷延化機序につきIL-6を含めて検討を行う。
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Research Products
(2 results)