2011 Fiscal Year Annual Research Report
蝸牛内リンパ腔電位の調節における辺縁細胞Ca2+透過性チャネルの役割
Project/Area Number |
22591892
|
Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
森 禎章 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 教授 (70268192)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 京子 大阪医科大学, 医学部, 助教 (40368105)
乾 崇樹 大阪医科大学, 医学部, 助教 (60465614)
山路 純子 大阪医科大学, 医学部, 講師 (40340559)
萩森 伸一 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (90291799)
|
Keywords | 血管条辺縁細胞 / 蝸牛内直流電位 / 細胞内カルシウム / L型Ca^<2+>チャネル / プロティンキナーゼC / フォスフォリパーゼC / アミロリド |
Research Abstract |
本研究は内リンパ直流電位(EP)の発生・調節機構を解明することを目的としている。以前の研究において、無呼吸負荷時にはEPの著明な低下が観察され、これが内リンパ腔への膜透過性Ca^<2+>キレート剤やL型Ca^<2+>チャネル阻害剤の投与により著明に抑制されることを明らかにした。このことは、無呼吸負荷によるL型Ca^<2+>チャネルの開孔に伴う血管条辺縁細胞の細胞内Ca^<2+>濃度の上昇が、EP発生機構を抑制することを示している。そこで、前年度の実験では無呼吸負荷によるL型Ca^<2+>チャネルの開孔機序について検討を行い、非特異的PKC阻害剤であるGF109203Xおよびnovel PKC阻害剤であるrottlerinの内リンパ腔への投与によりEPの低下が著明に抑制されるとともに、novel PKC活性化剤であるingenolを内リンパ腔に投与することでEPが著明に低下することを明らかにした。さらに今年度の研究では、この知見をもとにnovel PKCを活性化させる因子を検討し、非特異的フォスフォリパーゼC(PLC)阻害剤であるU-73122やフォスファチジルコリン特異性(PC)-PLC阻害剤であるD609を内リンパ腔に投与すると、無呼吸負荷によるEP低下が著明に抑制されることを見出した。したがって、無呼吸負荷によるEPの低下には、低酸素負荷によるPC-PLCの活性化がnovel PKCを活性化させ、これによりL型Ca^<2+>チャネルがリン酸化されて開孔することで、辺縁細胞内のCa^<2+>濃度が上昇してEPが低下する可能性が示唆された。さらに、辺縁細胞においてEPを発生させるチャネルを検討した結果、上皮性Na^+チャネル阻害剤として知られているamilorideの内リンパ腔への投与によりEPが著明に低下することが判明したため、EPの発生にamiloride感受性チャネルが関与している可能性を見出している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が大阪医科大学・医学部より関西福祉科学大学・保健医療学部に転出したため、研究施設・設備の見直しが必要であったこと、またこの研究のために用いることのできる時間が減少したことから、実験の進行がやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度までに、低酸素状態ではフォスフォリパーゼCを介してプロティンキナーゼCが活性化することで、血管条辺縁細胞のL型Ca^<2+>チャネルが開孔して細胞内Ca^<2+>濃度が上昇し、EP発生機構が障害されることを見出した。そこで次年度以降は、血管条辺縁細胞に存在して蝸牛内直流電位を発生しており、細胞内Ca^<2+>濃度上昇により不活性化されるイオンチャネルの同定を、電気生理学的手法を用いて行う。研究代表者が大阪医科大学より関西福祉科学大学に転出したため大阪医科大学生理学教室における実験が困難となったため、大阪医科大学耳鼻咽喉科学教室に新たな電気生理実験装置を設置し、実験を継続する。
|
Research Products
(5 results)