2011 Fiscal Year Annual Research Report
高度難聴小児の言語習得における聴覚あるいは視覚優位性の脳機能
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22591894
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Research Institution | Foundation for Biomedical Research and Innovation |
Principal Investigator |
内藤 泰 公益財団法人 先端医療振興財団, 分子イメージング研究グループ, 客員研究員 (70217628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千田 道雄 公益財団法人先端医療振興財団, 分子イメージング研究グループ, グループリーダー (00216558)
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Keywords | 高度難聴 / 音声言語 / McGurk効果 / 聴覚視覚統合 / 人工内耳 / 補聴器 |
Research Abstract |
音声言語処理における視覚と聴覚の情報統合と、その過程に対する高度難聴の影響を評価するため、McGurk効果を用いた検査法を設定した。McGurk効果とは、話者の顔の動画と、実際の発声とは頃なる音声を同時に呈示すると聴覚認知が視覚によって錯聴をきたす現象で、例えば「ガ」と発声している顔の動画に合わせて「バ」という音を呈示すると、多くの被験者には「ダ」と聴取され、「バガダ効果」とも呼ばれる。今回の研究では、単音節を発話している女性話者の顔の動きと音声をビデオ記録し、画像編集プログラムを用いて、顔の動きと音声を入れ替えたコンピュータファイルを作成し、高度難聴小児(人工内耳あるいは補聴器を装用している)、と年齢をマッチさせた健常聴力小児にこの画像・音声をコンピュータディスプレーとスピーカーから呈示し、被験者が認知した音節との異同を調べた。その結果、視覚と聴覚の刺激が異なる条件において、高度難聴小児では健常聴力小児に比して、視覚の影響を強く受けることが確認された。また、この検査を聴覚刺激に雑音を付加して語音聴取を困難にした条件で行うと、上記の傾向はさらに顕著となった。現在までに30名以上の高度難聴小児(4から9歳)においてデータを収集し、誤った認知を惹起する視覚と聴覚の組み合わせ、小児の聴覚活用の程度、言語発達との相関について分析を進めており、平成24年度もこのデータ収集と分析を続ける。この検査で、個々の難聴小児が言語によるコミュニケーションにおいて主として聴覚あるいは視覚のどちらに依存しているのかを評価し、個々の小児に適した言語習得ハビリテーションプログラムの策定を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高度難聴小児で検査・評価可能なテスト・バッテリーを設定できて、順調にデータ収集できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
McGurk効果を用いた、聴覚と視覚の拮抗と統合に関する検査を高度難聴小児と、年齢を一致させた健常聴力小児群で行い、その相違について統計解析を行う。
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