2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591898
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小林 正佳 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80343218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉橋 隆 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (90225251)
竹内 裕子 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (10324823)
山本 哲朗 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (00127002)
竹内 万彦 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50206942)
玉利 健悟 三重大学, 医学部, 助教 (90585176)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 嗅覚 / ヒト / 嗅細胞 / パッチクランプ / 免疫染色 |
Research Abstract |
三重大学医学部附属病院耳鼻咽喉・頭頸部外科の入院または外来患者で、予定鼻内手術を施行する患者から、全身麻酔下あるいは局所麻酔下で手術摘出された鼻粘膜組織から嗅細胞を取り出し、この組織を薬品処理して嗅細胞を単離してからパッチクランプ法を用いて嗅細胞の細胞膜電流を測定した。 本年度はヒト嗅細胞から非常に少ない確率ながらいくつか電流記録を行った結果、膜電位、逆転電位、膜のコンダクタンスなど様々なパラメーターにおいて、他種の動物(マウス、ラット、イモリ、ロブスター)と比較しても大きな違いは認められなかった。しかしながら、他種の動物に比べ、生存率は低く、また安定した電流記録を行えない点において、実験系の確立の難しさが明らかになった。 幾つかホールセル状態にした際、薬液の投与も行ったがほとんど失敗に終わっている。唯一成功しているのはTEA(テトラアンモニウム)による遅延整流性K電流の抑制作用であるが、こちらも多種の結果と同様の結果を認めた。他の薬品にかんしては十分な結果が認められないため、現在以下の点において修正を加えている。1.患者からのヒト嗅粘膜の摘出方法、2.摘出した嗅細胞の運搬方法、3.摘出した嗅細胞の実験時間、4.嗅細胞の単離方法、5.単離嗅細胞の実験時間における維持、保存方法、6.投薬する濃度の検証、7.投薬方法、8.薬品のウォッシュアウト方法である。 上記の点において、微小な修正を加えているが、大きな改善は認められず、当初の目的であった、単離嗅細胞に直接投薬する実験は難航している。このため、電気生理実験を行う際の、ヒト嗅細胞の環境整備を確立し、論文にまとめ、25年度はその方法によって様々な薬品の効果を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト嗅細胞からの安定した細胞膜電流の記録が非常に難しいため。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通りに実験回数を増やしてパッチクランプ記録の回数を積み重ねていく。また、スライスパッチクランプや、嗅細胞の記録がより安定するイモリ、またマウスなど他の哺乳類でもパッチクランプ記録実験を行い、トレーニングを積み重ねるとともに、ヒト嗅細胞実験との違いを探索して、ヒト嗅細胞での記録が安定して成功するように図る。更に、ヒト嗅細胞にとって良い環境での実験を行う方法を確立するため、実験都度の条件を記載し、最適な環境整備に務める。
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Research Products
(1 results)