2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591907
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北村 守正 京都大学, 医学研究科, 助教 (60543262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 滋 京都大学, 医学研究科, 講師 (10303827)
楯谷 一郎 京都大学, 医学研究科, 助教 (20526363)
嘉田 真平 京都大学, 医学研究科, 医員 (70543263)
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Keywords | 質量顕微鏡 / 甲状腺癌 / 未分化転化 |
Research Abstract |
甲状腺手術において、患者の同意が得られた症例に対して適宜、サンプル採取を行った。甲状腺乳頭癌は15例、良性腫瘍は5例採取できた。未分化癌は2例採取可能であったが、採取できたサンプルサイズは小さく、癌の部分が採取できているかどうかは不明である。まず悪性腫瘍で最も症例数の多い甲状腺乳頭癌の解析を行うこととした。 浜松医科大学分子解剖学部門(瀬藤光利教授)において、HE染色で甲状腺乳頭癌と診断したサンプルに対して質量顕微鏡(ultraflexII)で解析を行なった。測定対象は蛋白質、核酸、脂質などが考えられたが、今回の研究では脂質の一種で細胞膜に多く含まれているフォスファチジルコリンとした。得られたスペクトルを統計学的に解析し、正常甲状腺部分と比べて甲状腺乳頭癌でより多く発現しているフォスファチジルコリンを6種類同定することができた。 フォスファチジルコリンは上述の様に細胞膜の主成分であり、シグナル伝達にも大きく関わっているとされている。その構造は、アラキドン酸やパルミチン酸などをはじめとする脂肪酸が2つ付いているのが特徴である。脂肪酸は生命活動に必須であるが、癌と脂肪酸の関係についての詳細は不明である。現在、フォスファチジルコリンの脂肪酸を同定することが可能なのは質量顕微鏡のみである。上記内容は現在投稿準備中であり、2011年4月開催のCombined Otolaryngology Spring Meetingsにて発表予定である。 今後甲状腺未分化癌の症例数をさらに蓄積し、乳頭癌との比較検討を行い、未分化癌の検査、治療において新たな糸口の検索を行う予定である。
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Research Products
(2 results)