2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591907
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北村 守正 京都大学, 医学研究科, 助教 (60543262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 滋 京都大学, 医学研究科, 講師 (10303827)
楯谷 一郎 京都大学, 医学研究科, 助教 (20526363)
嘉田 真平 京都大学, 医学研究科, 医員 (70543263)
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Keywords | 質量顕微鏡 / 甲状腺癌 / 未分化転化 |
Research Abstract |
昨年度に行った質量顕微鏡(ultraflexII)での甲状腺乳頭癌の解析結果の再検討を行ったところ、組織内のカリウムやナトリウムのイオン濃度により分析対象の脂質の検出感度が異なることが明らかとなった。分析対象である細胞膜主成分であるホスファチジルコリンなどの脂質は生体内でカリウムやナトリウムなどのイオンと結合している。そのため昨年度解析を行った症例に対して、条件を再検討して再度質量顕微鏡での解析を行った。その際、サンプルの状態を統一し、対象症例は計7症例とした。 質量顕微鏡のデータは一回の解析で数GB程度の膨大なデータ得られることもあり、統計学的処理については現在も検討が繰り返されている。今回の再検討においても昨年度の統計学的処理を改訂し、全症例で有意差が得られる分子を甲状腺癌に特に多く含まれる脂質とした。 結果は2種類のホスファチジルコリンと1種類のスフィンゴミエリンが正常甲状腺部分に対して、甲状腺乳頭癌において多く発現しているのが確認できた,それぞれの脂質を構成している脂肪酸によりホスファチジルコリンスフィンゴミエリンは分類されているが、脂肪酸の違いによりどのような癌の特徴、生物学的意味があるのかは不明な点が殆どである。脂肪酸の違いを同定できるのは現在のところ、質量顕微鏡のみであり、それを利用した研究の発展が望まれる。現在、論文投稿準備中である。 元来の目的である甲状腺未分化癌のサンプル採取は症例が稀少なこともあり、昨年度の2症例にとどまっており、今年度も引き続きサンプル採取を続ける予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
甲状腺乳頭癌の解析は進んでいるが、元来の目的である甲状腺未分化癌のサンプル採取は症例が稀少なこともあり、昨年度の2症例にとどまっている。今年度も引き続きサンプル採取を続ける予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
甲状腺未分化癌の症例は少ないが、質量顕微鏡での解析を行い、乳頭癌との比較を行っていく予定である。特に甲状腺癌に多く含まれる脂質を中心とした部分での解析を予定している。
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