2010 Fiscal Year Annual Research Report
Lymphatic chemotherapyによるリンパ節転移制御法の開発
Project/Area Number |
22591920
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
横山 純吉 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60312584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 勝久 順天堂大学, 医学部, 教授 (70159614)
長谷川 泰久 愛知県がんセンター, 研究員 (10261207)
伊藤 伸 順天堂大学, 医学部, 助教 (80365577)
大峡 慎一 順天堂大学, 医学部, 助教 (20549274)
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Keywords | Lymphatic chemotherapy / 頸部リンパ節転移 / センチネルリンパ節 / Drug delivery system(DDS) / 頭頸部癌 / 機能温存 / Lyposome |
Research Abstract |
研究要旨:頭頸部癌の最大の予後因子である転移リンパ節の制御にセンチネルリンパ節(SN)理論に基づきリンパ管を利用したlymphatic chemotherapy(LC)を頭頸部癌で確立し、侵襲を与えずに、転移リンパ節に持続的に強力な治療効果を発揮する治療の実用化を目指した基礎研究である。 ヌードマウスに口腔癌を作成後Doxilを投与し、1週後血液、舌、リンパ節(頸部、縦隔、腋窩)、肝、脾のADM濃度を測定する。血液中濃度はコントロール群の11%で生体侵襲は少なく、リンパ節内濃度は高濃度に維持されていた。SN理論に基づく頭頸部癌のTargeting Chemothearpyの可能性が高い。 目的:原発巣にリンパ指向性の高い抗癌剤(ADMをリポゾーム化したDoxil)を投与し、リンパ管経由で転移リンパ節を効率良く治療し、従来の手術を省略し、予後を向上させるDDSの確立である。 研究方法:口腔癌のモデルをヌードマウスに口腔癌の培養株KB cellを接種し作成した。ADMをリポゾーム化したDoxilを8mg/kgを局所投与した。コントロールとして従来のADMを同量投与した。1週後血液、舌、リンパ節(頸部、縦隔、腋窩)、肝、脾のADM濃度を測定した。 結果:抗癌剤投与1週後の血液中の濃度はコントロール群が15.8μg/mlに対してDoxilは1.73μg/mlであった。舌癌中の濃度はそれぞれ、Oと0.3μg/gで、頸部、腋窩、縦隔のリンパ節はコントロール群がすべてOであったのに対して、Doxil群はそれぞれ2.5,2.27、2.07μg/gと高濃度であった。肝と脾も同様にコントロール群はOに対して、Doxil群はそれぞれ0.41、1.61μg/gであった。色素(ICG)を舌癌中に投与し、リンパ管とSN節を確認した。 考察:リポゾーム化したDoxilはリンパ指向性が高く、血液濃度はコントロールの11%しかなく、侵襲の軽減が期待された。抗癌剤はSN理論に基づきリンパ管を経由してリンパ節転移巣に効率良く移行した。しかもリポゾーム化した抗癌剤はリンパ節内に長期的に滞留し効果を発揮した。SN理論によるlymphatic chemotherapyを応用した理想的なTargeting Chemothearpyの可能性が期待できる。 結論:リポゾーム化した薬剤の局所投与は血中への移行は軽度で、侵襲を軽減しながらリンパ管経由で転移リンパ節に1週後でも高濃度に滞留し、最大の予後因子である転移リンパ節を制御できる可能性がある。
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Research Products
(4 results)