2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591924
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
梅野 博仁 久留米大学, 医学部, 准教授 (40203583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千年 俊一 久留米大学, 医学部, 講師 (20299514)
佐藤 公則 久留米大学, 医学部, 教授 (70196228)
上田 祥久 久留米大学, 医学部, 講師 (20299415)
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Keywords | 一側声帯麻痺 / 声帯内脂肪注入術 / 甲状軟骨形成術I型 / 音声検査 / width ratio / bowing ratio / 声帯弓状変化 / 声帯突起間隙 |
Research Abstract |
【目的と意義】一側声帯麻痺症例に対する音声改善手術では甲状軟骨形成術I型±披裂軟骨内転術施行群よりも、声帯レベル差がない症例では声帯内脂肪注入術が空気力学的・音響分析検査上も安定して良好な音声を獲得できることを過去に証明した。しかし、甲状軟骨形成術I型や披裂軟骨内転術施行群でも優れた音声が得られる症例も多く、なぜ甲状軟骨形成術I型や披裂軟骨内転術施行群の術後音声が統計上は悪かったのかを探求する必要性が生じた。そこで、声帯の形態を術前後で比較して、手術効果の判定を行うことにした。本年度はまず、声帯内脂肪注入術症例に対して、発声時の声帯突起間距離を麻痺側声帯長で割ったwidth ratioと、麻痺側声帯の弓状変化を麻痺側声帯長で割ったbowing ratioを声帯の画像より算出し、注入量と注入部位を工夫した声帯内脂肪注入術における術前後の音声と麻痺声帯の形態上の改善効果について長期成績をもとに比較検討を行った。【方法】2000年5月から2010年8月までに一側声帯麻痺に対して声帯内脂肪注入術を行った78症例を対象とし、音声検査として術前後のMPT, MFR, F0 range, SPL range, PPQ, APQ, NNEaをパラメータとして比較検討した。また、麻痺声帯の形態上の改善効果を比較検討するため、患側声帯弓状変化の程度を示すbowing ratioと声帯突起間間隙の程度を示すwidth ratioを計測し、比較検討を行った。【結果】5例に再注入を行ったが、すべてのパラメータにおいて術後は術前と比較して有意な改善が認められた。また、bowing ratioとwidth ratioの有意な改善も認められた。【結論】一側声帯麻痺に対する声帯内脂肪注入術は概ね、術後長期に渡って音声改善効果が充分に維持され、声帯弓状変化と発声時の声帯突起間隙を減少させる手術療法であることが確認された。
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