2011 Fiscal Year Annual Research Report
白血球接着分子VAP-1の眼窩腫瘍における予後予測因子としての検討
Project/Area Number |
22591926
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野田 実香 北海道大学, 大学病院, 助教 (10296668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 航介 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90296666)
加瀬 諭 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (60374394)
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Keywords | 眼窩腫瘍 / 白血球接着分子 / VAP-1 |
Research Abstract |
白血球接着分子Vascular Adhesion Protein (VAP)-1は多様な疾患に関わっていることが知られており、腫瘍性病変ではその発現量と生命予後の関係が注目されている。しかしながら、眼科領域における腫瘍性疾患とVAP-1との関連は現時点で不明である。本研究計画は、免疫組織学的手法、分子生物学的手法を用いて眼窩腫瘍におけるVAP-1発現を定量し、VAP-1発現と眼窩腫瘍の悪性度(転移率・再発率)および生存率との関連性を検討することを目的としている。 前年度の検討では眼窩腫瘍の検体収集が予定より遅延したため、今年度は眼科領域における眼窩腫瘍以外の腫瘍性病変、すなわち結膜腫瘍の検体収集と解析も並行しておこなった。代表的な結膜腫瘍である節外性B細胞性リンパ腫と化膿性肉芽腫におけるVAP-1の発現を検討したところ、正常結膜組織では微小血管を構成する血管内皮細胞の細胞質に存在するVAP-1が、節外性B細胞性リンパ腫と化膿性肉芽腫においては血管内腔、すなわち細胞膜表面にその局在が変化していた。本結果は、結膜組織における腫瘍性病変の形成にVAP-1発現が関与している可能性、また炎症性変化がその病態基盤に存在している可能性を示していた。しかしながら、その発現パターンと腫瘍の悪性度には相関を認められず、今後さらに検討する予定である。本研究結果は、VAP-1が結膜腫瘍における治療標的となり得る可能性を示していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は眼科領域における眼窩腫瘍以外の腫瘍性病変、すなわち結膜腫瘍の検体を収集および解析して同疾患におけるVAP-1の発現を検討した。代表的な結膜腫瘍である節外性B細胞性リンパ腫と化膿性肉芽腫症例を選択し、得られた組織検体を用いてVAP-1発現を検討したところ、正常結膜組織では微小血管を構成する血管内皮細胞の細胞質にVAP-1発現が認められるが、節外性B細胞性リンパ腫と化膿性肉芽腫においては血管内腔にVAP-1が局在していた。本結果は、結膜組織における腫瘍性病変の形成、そして併発する炎症性変化にVAP-1発現が関与している可能性を示していた。しかしながら、その発現パターンと腫瘍の悪性度には相関を認めなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の結膜腫瘍の検討とともに、眼窩腫瘍の組織検体収集を並行しておこなった。次年度は、眼窩悪性リンパ腫および眼瞼悪性黒色種におけるVAP-1発現を検討する予定である。
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Research Products
(2 results)