2010 Fiscal Year Annual Research Report
緑内障性視神経障害進行の活動部位仮説の立証と乳頭出血、予後予測に関する研究
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22591936
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
杉山 和久 金沢大学, 医学系, 教授 (80179168)
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Keywords | 緑内障 / 視神経障害 / 乳頭出血 |
Research Abstract |
我々は、少なくとも3年以上1ヶ月から2ヶ月に1回経過観察を行った正常眼圧緑内障患者を、無赤色化した眼底写真で網膜神経線維層欠損の角度を定量化し、網膜神経線維層拡大群と、網膜神経線維層欠損不変群に分類し後ろ向きに解析した。93例93眼を解析し(平均観察期間8.2年)、その中で55眼に網膜神経線維層欠損の拡大が見られた。乳頭出血は網膜神経線維層欠損の拡大がみられた55眼中35眼(63.6%)でみられ、網膜神経線維層欠損不変群では、38眼中6眼(15.8%)のみであった。乳頭出血の頻度は網膜神経線維層欠損拡大群が統計学的に有意に多かった。網膜神経線維層欠損拡大群では、21眼(38.2%)で複数回の乳頭出血がみられた。網膜神経線維層拡大群の中で、48眼(87.3%)が黄斑部に向かって網膜神経線維層が拡大していた。乳頭出血が網膜神経線維層欠損に隣接する25眼中21眼(84.0%)で、乳頭出血のある方向に網膜神経線維層欠損が拡大した。また、視野が進行しない累積確率は、網膜神経線維層欠損不変群に比べて、網膜神経線維層拡大群が有意に低かった。 また、眼底対応視野計およびスペクトラルドメインOCTを用いて早期緑内障症例を検討した。早期緑内障症例の網膜神経線維層欠損において、網膜神経線維層欠損の黄斑部側に感度低下を認める症例(図1)が多くみられた。その部分をOCTにて断面をみると感度低下がみられた部位の網膜神経線維層欠損の菲薄化が著明であった。また、菲薄化した側の網膜神経線維層欠損の境界部に乳頭出血が多くみられ、先の後ろ向き研究と合わせて考えると、網膜神経線維層欠損の進行過程における構造的変化が乳頭出血の出現に関与していることが疑われた。
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Research Products
(2 results)