2012 Fiscal Year Annual Research Report
緑内障性視神経障害進行の活動部位仮説の立証と乳頭出血、予後予測に関する研究
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22591936
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
杉山 和久 金沢大学, 医学系, 教授 (80179168)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 緑内障 / 視神経障害 / 乳頭出血 |
Research Abstract |
本年は、長期間経過観察した境界明瞭な網膜神経線維層欠損(NFLD)を有する正常眼圧緑内障(NTG)における乳頭出血(DH)出現やNFLD角度の拡大と視野障害進行との関連について検討した。対象は境界明瞭なNFLDを有するNTG106例106眼。経過観察期間は9.1±2.0年(5.0~14.4年)であった。NFLD角度と視野障害の程度を検討した結果,NFLD角度が拡大するにつれ,MDは悪化した (r=-0.761,p<0.0001)。経過中に106眼中51眼(48.1%)にDHが出現、DH出現の平均回数は1.28±1.99回であった。MD変化量はDH(+)群:-2.61dB,DH(-)群:-1.14dBで,DH(+)群が有意に進行した(p=0.008)。MD slopeはDH(+)群:-0.30dB/year,DH(-)群:-0.13dB/yearで,DH(+)群は有意に視野障害進行速度が速かった(p=0.0027)。NFLD角度変化速度はDH(+)群で有意に急速にNFLDが拡大した(p<0.0001)。ベースラインMDと比較し、2回連続して3dB以上悪化した1回目をエンドポイントと定義した場合のDH出現有無別の視野異常生存率は,DH(+)群がDH(ー)群に比べ有意に進行した( p=0.0019)。DH(-)群の10年生存率は87%、DH(+)群の10年生存率は56%であった。DH回数とDHに一致するNFLD角度拡大速度の関係は、DH回数の増加に伴いNFLD角度の拡大が有意に速くなった (r=0.410, p<0.0001) 。NTGにおいてDH眼は非DH眼よりもNFLD拡大速度や視野障害進行速度が速く,かつ頻回なDHの出現がその両者を加速することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、正常眼圧緑内障における緑内障性視神経障害とそれに伴い視神経乳頭のリム消失や網膜神経線維層欠損が拡大する際の構造的変化と機能的変化(視野進行)について検討を行った。長期間経過観察した境界明瞭な網膜神経線維層欠損を有する正常眼圧緑内障において網膜神経線維層欠損の角度を測定し、その進行の様子乳頭出血出現の有無に分けて検討した結果,乳頭出血が出現した場合は乳頭出血が出現していない緑内障眼よりも網膜神経線維層欠損の拡大速度や視野障害進行速度が速く,かつ頻回な乳頭出血の出現がその両者を加速することが判明し、機能と構造の関係が明らかとなった。さらに、正常眼圧緑内障の構造的変化を3D-OCTや視神経乳頭解析装置を用いて引き続き解析中で継続中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、最終年度であるので、さらに論文の作成に重点を置いて、研究を進めていく予定である。
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Research Products
(6 results)