2011 Fiscal Year Annual Research Report
角膜内皮の健常性に関与する原始絨毛の存在意義の解明
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22591947
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
谷岡 秀敏 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (90171834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 茂 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (30116024)
篠宮 克彦 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (50585289)
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Keywords | 角膜内皮 / 非健常細胞 / 組織学的検討 / 原始繊毛 |
Research Abstract |
角膜の透明性維持に重要な役割を果たしている角膜内皮細胞には、腎臓の上皮細胞や原始結節の細胞と同様に原始繊毛が存在することが報告されているが、その機能は未だ明らかにされていない。一方、我々は、角膜移植時のドナー角膜組織を用いた組織学的研究を行い、保存液中で一定期間低温保存されたドナー角膜組織の角膜内皮細胞のなかに、abilityが低下した非健常細胞が存在することに気付いた。そこで本研究では、ドナー角膜組織、および角膜移植時に摘出された患者角膜組織を用いて、非健常角膜内皮細胞の出現率および、角膜内皮細胞の健常性と原始繊毛の形態学的、組織学的異常の関係について検討を行い、角膜内皮細胞における原始繊毛の機能を明らかにする。 本年度の研究実績 (1)超微形態観察:ウサギ角膜内皮を走査型電子顕微鏡で観察したところ、原始繊毛は全内皮細胞の約2-3割程度に存在し、その位置は細胞の中央部であることが分かった。一方、保存ヒト角膜の内皮では原始繊毛は観察されなかった。 (2)固定した培養内皮細胞の観察:ウサギの角膜内皮培養細胞および角膜組織を固定後、アセチル化αチューブリン抗体を用いて蛍光標識し、共焦点レーザー顕微鏡で立体観察した。その結果、細胞外に突出した原始繊毛と細胞内の核周囲がアセチル化αチューブリン抗体陽性を示した。 (3)未固定培養内皮細胞の観察:顕微鏡用培養装置を用いてウサギ角膜内皮培養細胞のアセチル化αチューブリン抗体を用いた蛍光免疫染色、微小管に特異的に結合するオレゴングリーン488パクリタキセルならびにDiIを用いたlive-imagingを行ったが、バックグラウンドが高く原始繊毛の観察は出来なかった。そこで細胞内移行性が良好な蛍光標識パクリタキセルであるTubulinTrackerを用いたところ、原始繊毛の観察が可能であったが、今後条件の最適化が必要と思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の実施予定項目をほぼ達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
TubulinTrackerによる生細胞の染色条件を最適化して、未固定ウサギ角膜内皮における原始繊毛の働きを調べる。また輸入ドナー角膜を入手し、原始繊毛の存在の有無を再検討する。必要があれば器官培養を実施する。輸入ドナー角膜で好ましい結果が得られない場合は、ウサギ角膜を眼球保存液で保存して検討する。角膜内皮疾患の患者から得られた角膜が入手できれば、原始繊毛について詳細に検討し、疾患との関連を調べる。
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