2010 Fiscal Year Annual Research Report
マウス涙腺を用いた機能的3次元培養腺房の作製と、その細胞生物学的検討
Project/Area Number |
22591957
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
伊藤 正孝 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部・医学科専門課程, 准教授 (30534896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今城 純子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部・医学科専門課程, 教授 (20223323)
唐沢 容子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部・医学科専門課程, 助教 (60535540)
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Keywords | 涙腺 / 3次元培養 / ドラアイアイ / 外分泌腺 / 細胞生物学 / 幹細胞 / 再生医学 / マウス |
Research Abstract |
1涙腺組織幹細胞の検出と分化誘導:涙腺導管細胞と腺房細胞が3次元培養に際してそれぞれ異なった性質を有しているとの仮説のもと、用手的な分離を試みたが、きわめて非効率であったことから、これを断念した。一方、上皮前駆細胞マーカーであるp63に対する免疫染色を正常涙腺で実施したところ、導管基底細胞層で多くの陽性細胞が見られたことから、この中に組織前駆細胞/組織幹細胞(以下TSC)が存在すると考えられた。これまでの培養産物の中には高度に角化した細胞塊も存在したことから、このTSCには多分化能が存在するものと考え、分化誘導培地を用いてair-lift培養をしたところ、角膜、結膜および皮膚様の組織が生じた。これにより、生後マウス由来涙腺上皮細胞には多分化能を有するTSCが含まれていることが明らかとなったが、培養下で機能的腺房を構成させようとする当初の目的達成のためには、正しい分化状態を維持させるために特に注意を払う必要が生じてきた。 2細胞増殖因子等の3次元培養涙腺細胞への影響:涙腺上皮細胞には各種細胞増殖因子に対するレセプターが存在することが知られているが、現在3次元培養に用いている培地には未公開の成分が含まれていることから、この条件下で細胞増殖因子を加えても結果の解釈が困難であるため、細胞増殖因子とは逆に、各種細胞機能の阻害剤を添加することとした。用いた薬剤は、UO126(MAP kinase阻害剤),SU5402(FGFレセプター阻害剤)およびn-酪酸(ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤)である。その結果、U0126では細胞増殖が著しく阻害されたのに対し、SU5402では細胞塊内部での角化が抑制された。n-酪酸添加では細胞増殖は軽度阻害されたものの、周囲にゲル状の分泌物が多群よりも多く観察された。これらの分化、分泌に関する変化については今後、更に検討してゆく方針である。
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