2011 Fiscal Year Annual Research Report
活性化グリア細胞を介した網膜傷害に対するスタチンの抑制効果の検討
Project/Area Number |
22591973
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
奥 英弘 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (90177163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 真司 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (80288703)
福原 雅之 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (00238510)
奥野 高司 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (20411366)
石崎 英介 大阪医科大学, 医学部, 助教 (70530434)
小林 崇俊 大阪医科大学, 医学部, 助教 (10567093)
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Keywords | スタチン / アストロサイト / CD68 / NF-κB / TNF-α / iNOS / endothelin / GFAP |
Research Abstract |
ラット視神経を挫滅し、1週間後に挫滅創を観察すると、マクロファージ/ミクログリアのマーカーであるCD68陽性細胞の遊走がみられた。これらの細胞はendothelin-B(ETB)受容体陽性で、endothelinを分泌し、アストロサイトを活性化し、グリア療痕形成に関与していた。ETB受容体遮断剤を視神経挫滅前に浸潤させると、網膜神経節細胞死は抑制され、グリア療痕形成も軽減された。 スタチンを浸透圧ミニポンプで全身投与し、プラセボ群と比較すると、CD68陽性細胞の集積が抑制され、視神経でのTNF-α、iNOS発現も抑制された。一酸化窒素(No)はTNF-α誘発神経細胞死を増強するが、スタチン(simvastatin 3.0mg/kg/day)投与により、これら細胞傷害物質が同時に抑制されるのが確認された。さらにアストロサイトの活性化に関与するendothelin、および活性化マーカーであるGFAPの発現も抑制された。CD68陽性細胞の遊走抑制は、スタチンがアストロサイトでのケモカイン発現を抑制している可能性が考えられた。 スタチンによる神経保護の分子機構を明らかにするため、視神経アストロサイトの培養系を用いて検討した。アストロサイトにTNF-αを暴露すると、NF-kBの核内移行が誘導されることをゲルシフトアッセイで確認した。またNF-kB転写活性の影響下にあるiNOS発現の亢進が、western blotで認められた。この系にsimvastatin(1.0μM)を添加すると、NF-kBの核内移行とiNOS発現の抑制が認められた。したがってスタチンはアストロサイトに働き、NF-kBの活性化を抑制する可能性が示唆された。グリア細胞でのNF-kBの抑制は炎症反応全体を軽減させる可能性があり、他の実験系での追試を考慮している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スタチンによるグリア細胞の活性化抑制がin vivoで確認でき、アストロサイトの培養系でスタチンがTNF-α刺激によるNF-kBの核内移行を抑制することがゲルシフトアッセイで認められている。
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Strategy for Future Research Activity |
より臨床的意義が高い手法で視神経でのアストロサイト、ミクログリアを活性化し、スタチンによる抑制を検討する。具体的には視神経炎モデル、実験的高眼圧モデル、NMDA硝子体内注入などを予定している。
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Research Products
(4 results)