2010 Fiscal Year Annual Research Report
小児固形悪性腫瘍におけるGLYPICAN3をターゲットとした分子標的治療
Project/Area Number |
22591980
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木下 義晶 九州大学, 医学研究院, 准教授 (80345529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 智章 九州大学, 医学研究院, 教授 (20197247)
田尻 達郎 九州大学, 医学研究院, 准教授 (80304806)
宗崎 良太 九州大学, 大学病院, 助教 (10403990)
田中 桜 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (40467923)
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Keywords | GLYPICAN3 / 小児固形悪性腫瘍 / 腫瘍マーカー / AFP / 分子標的治療 |
Research Abstract |
成人癌の領域では肝細胞癌の新たな腫瘍マーカーとしてGlypican3の有用性が明らかにされ、免疫治療の臨床試験の段階に入っている。我々のpreliminaryな研究結果にて既知の腫瘍マーカーを持たない一部の小児固形悪性腫瘍においてGlypican3が陽性所見を示す結果を得ている。これらに対する新規治療法の開発の初期段階として以下の研究を行った。 平成22年度は1964年より2008年の間に九州大学小児外科で経験された小児固形悪性腫瘍の病理検体ならびに2006年から2009年の間に採取された血清検体100例を対象にGlypican3と既知の腫瘍マーカーであるAFPとについて免疫組織学的検討ならびにELISA法による血清学的検討を行った。肝芽腫や悪性胚細胞性腫瘍においてはAFPが既知のマーカーとして知られており、ほとんどの症例で陽性を示し、Glypican3も同様にほとんどの症例で陽性を示した。しかし、一部の腫瘍マーカーが存在しない難治性の腫瘍においてGlypican3のみが単独で陽性を示し、このような症例に対してはGlypican3は有用なマーカーとなることが考えられた。また化学療法、放射線療法、手術といった治療の経過にともなって臨床経過の改善にともなって血清中の値は低下しており、この所見もマーカーとしての有用性を示すものであった。 一方腫瘍の種類に関係なく生直後から1歳前後の検体においてはGlypican3が高値を示す傾向があり、AFPと同様に胎児期から生後早期にかけて生理的高値の時期が存在することが推察された。 Glypican3をターゲットとした分子標的治療の対象を決定するためには生理的高値の有無、時期について明らかにする必要性がある。そこで次年度は非腫瘍性の健常児においてGlypicanがどのような生理的減衰を示すか、検討する予定である。
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