2010 Fiscal Year Annual Research Report
皮下脂肪由来再生細胞の血管再生治療臨床応用へ向けた基本的情報の検討
Project/Area Number |
22591994
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
山本 康孝 鳥取大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (20362882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久留 一郎 鳥取大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60211504)
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Keywords | 再生医療 / 脂肪細胞 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
動脈硬化症の末梢病変では、従来の治療法が奏功しない重症患者が下肢切断を余儀なくされている。下肢切断回避法として骨髄細胞を用いた血管再生療法が本邦で2000年より開始され、有効性・安全性が報告されているが、従来の骨髄細胞に比し、皮下脂肪細胞は容易に安全に採取でき、繰り返し採取可能なことから次世代の再生医療の有力な細胞供給源として期待される。しかし、その有効性・細胞の性質について詳細な検討はなされていない。本年度、我々はマウス下肢虚血モデルを作成し、ラットより得た皮下脂肪由来再生細胞(ADRC)の血管再生に必要な移植細胞数を検討した(0個、1×10^6個、3×10^6個)。レーザードップラー血流・毛細血管数(病理)による解析の結果、1×10^6個が最適であった。また、培養細胞と新鮮単離細胞を比較したところ、新鮮単離細胞のみで血管新生能を認めた。新鮮単離細胞は血管新生因子(VEGF,FGF-2,HGF)の発現が高い事も確認された。現在、再生医療を行うための細胞ソースはiPS細胞も含めて検討されているが、安全性の問題から極力、培養過程や細胞処理過程が単純であり、かつ治療目的に有効な細胞が求められている。本年度の我々の研究により、培養過程を経ず、繰り返し採取しうる皮下脂肪から分離したADRCが虚血組織の血流回復に寄与しうることが分かった。病理解析でも奇形腫や悪性腫瘍の発生は確認されず安全性も確認しえた。体性幹細胞の性質についての詳細な評価やメカニズムの解析は来年度以降の検討課題であるが、臨床応用に際し、重要な基礎的知見が得られたと考えられる。
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