2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経血管柄付き筋肉移植におけるアセチルコリンレセプターの動向に関する研究
Project/Area Number |
22591999
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
柏 克彦 岩手医科大学, 医学部, 教授 (70169423)
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Keywords | マイクロサージャリー学 / 筋肉移植 / 神経再生 / アセチルコリン / レセプター / アセチルコリンレセプター |
Research Abstract |
再建外科領域で用いられている血管神経柄付き筋肉移植における神経筋接合の修復過程を明らかにするとともに、実際に臨床で用いられ始めている手技の評価法としての有用性を確認する目的で、平成22年度~23年度にわたり、ラットを用いた予備実験と白色家兎を用いた本実験を施行してきた。 ラットによる予備実験では、神経切除モデルにおいても筋体の一部に再神経支配が認められる傾向があったため、実験モデルとして家兎大腿直筋短頭を選択し、(A)神経切除モデル、(B)神経切断、再縫合モデル、(C)神経血管柄付き移植筋モデル、(D)神経端側縫合モデルの4群の作成を行ってきた。検体となる筋肉組織におけるアセチルコリンレセプターの形態・分布については、術後1~24週数の固体で筋組織を採取した後、筋体標本の蛍光標識蛇毒を用いた蛍光顕微鏡像として観察を進めている。 現在、モデル(A)~(B)については一部作成モデルに不足があるものの、モデル(A)では対側正常大腿直筋との比較において、各週数に応じた肉眼的萎縮、重量変化、電気刺激に対する応答性の低下も含め、長期間経過後のモデルにおいても明らかな差異が認められる。一方、モデル(B)では、初期においてはモデル(A)同様の変化が認められるものの、依然より行ってきた移植筋における生化学的な解析結果と同様に回復傾向が得られているものと推察できた。 本年度はモデル(A)、(B)における検体数のばらつきを整えるとともに、昨年度に引き続き、モデル(C)、(D)の検体作成と解析を行い、数量的変化の解析まで行う予定である。さらに筋組織の組織学的変化との関連性を評価するため、染色法の追加による相対的評価を行うことも計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
主にラットを用いた実験を予定していたが、神経切除モデルでの神経再生の可能性や実験モデル作成の難易度の高さを勘案し、家兎を中心とした実験への変更を要した。また、レセプターと共に筋の再生状況炉判別可能な染色法を再検討したため。震災の影響により、数か月間実験動物や薬品の入手が困難な時期があったことも多少影響した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は、作成した動物検体に対し標識蛇毒を用いた蛍光顕微鏡像と放射線標識によるautoradiographyを用いた解析を行う計画であったが、過去2年の経過から同時に筋線維の再生状況も把握すべきと考えられたため、後者を用いた解析は一時見合わせ、一部の検体を用いたHE等免疫染色以外での標本作成とビオチンを用いた免疫組織化学染色を優先する予定である。 またこれまでの研究の結果については過去2年間の成果と共に本年度中に総括し、実験の手技的な点も含めて、学会等で報告する予定である。
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