2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22592000
|
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 智也 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (10445132)
|
Keywords | 細胞・組織 / 移植・再生医療 / 再生医学 / 生体分子 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究の目的は、間葉系幹細胞から骨芽細胞が分化し、骨形成を行う過程におけるS1Pの機能と、そのシグナル伝達経路を解明すること、さらに骨培養へ応用することである。 骨欠損の再建に対し、幹細胞を用いた人工骨の作成が研究されつつある。しかしいまだ大きな骨組織を得るまでには至っておらず、より効率的な培養系の開発が必要である。最近、破骨細胞がsphingosine1-phosphate(以下S1P)を放出し、間葉系幹細胞を骨芽細胞に分化させ骨の再生を促すことを示唆する知見が得られた。過去にS1Pを骨培養に応用した報告はない。本研究期間内に、(1)間葉系幹細胞から骨形成する際に、細胞レベルでS1Pが具体的にどのように機能しているかを明らかにすること。(2)S1Pの生体内での骨形成にどのように機能するかin vivoで解析すること(3)S1Pを使用し、より効率的に大量の骨組織の培養を行う系を確立することを目標とする。 本年度は昨年度の分子生物学的検討をさらに進め、S1Pの具体的な機能が何であるか検討することを目的とし研究を行った。具体的には間葉系幹細胞にS1P受容体S1P1-S1P5のどのサブタイプが発現しているかウエスタンブロットで確認した。またS1Pが間葉系幹細胞の増殖を促進することをMTTアッセイにて解析した。さらにS1Pが間葉系細胞の遊走を促進するか、また骨芽細胞への分化を促し、骨芽細胞マーカーを発現させるかを解析した。並行してアルカリフォスファターゼの生成、石灰化の有無を特殊染色にて検討を行っている。また骨分化を促すうえでの条件の最適化を目指して、各種の条件を変えて実験を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備実験ではデータにややばらつきがあったものの、実験を繰り返すことで良いデータが得られた。また実験手技も習熟し、効率的に実験が進められている。その結果、本年度までの目標であった細胞レベルでの実験はほぼ完了しつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の方針として間葉系幹細胞から骨芽細胞への分化を効率化させることを目標とし条件の最適化を図る。その後、S1Pを阻害することによるin vivoでの影響を検討する。具体的にはマウスにS1P阻害剤を全身投与し、骨組織に対する影響について考察する。骨組織の解析には高分化能マイクロフォーカスX線CTスキャナーを用いて骨構造解析を行う。さらにSingle-Energy Xray Absorptiometry(SXA)法により骨密度測定を行う。さらにマウスの頭蓋骨欠損モデルを作成し、骨欠損部へ培養骨を移植し、骨形成が促進されるか検討する予定である。
|