2011 Fiscal Year Annual Research Report
心肺蘇生後脳保護における二酸化炭素の有効性に関する実験的研究
Project/Area Number |
22592008
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
大嶋 清宏 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60361375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩原 周一 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (20455992)
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Keywords | 心肺停止 / 心肺蘇生 / 脳保護 / 二酸化炭素 / 虚血再灌流傷害 / アニオンギャップ |
Research Abstract |
心肺停止は救急の現場で最重症の範疇に属する病態である.蘇生に関しては世界的なガイドラインが作成され普及しているが未だ満足すべき結果は得られていない.また,心肺蘇生により自己心拍再開が可能か否かを明確に判別できるパラメーターも確立されていない.我々は,心肺停止(CPA)症例における,来院時のアルブミン補正アニオンギャップ(ACAG)の測定意義に関して検討した.2009年1月から2010年12月までの1年間に当院救急外来に搬送された166例のCPA患者のうち,retrospectiveに検討が可能であった132例を対象とした.自己心拍再開(ROSC)の有無により対象を2群に分けた.搬送時のacute physiology and chronic health evaluation(APACHE)IIスコア,sequential organ failure assessment(SOFA)スコア,アニオンギャップ(AG)およびACAG値を算出/計測し2群間で比較し,AGおよびACAGのROSC予測における臨床的意義に関して検討した.結果として,ROSCが得られた{ROSC(+)}群では,得られなかった{ROSC(-)}群に比較してAGおよびACAGが有意に低値であった.AGとACAGはともにAPACHE IIスコアおよびSOFAスコアと相関を認めたが,相関係数はいずれもROSC(+)群が高かった(APACHE IIスコア:0.506vsO.482,SOFAスコア:0.469vsO.204).CPA症例に対するROSC予測に関する感度,特異度,positive predictive valueおよびnegative predictive valueは,ACAGがAGよりも優れていた.結論として,AGおよびACAGはCPA症例におけるROSC獲得と相関を認めた.しかしながら,AGに比較してACAGの方がさらに有力なROSC予測因子と考えられた.ACAGは多忙な救急外来の現場でも迅速かつ簡便に得られるため,CPA症例に対して有益なパラメーターと成り得る.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心肺停止症例における自己心拍再開に関する有益なパラメーターとして,アルブミン補正アニオンギャップの有用性を証明した.この結果に,血中二酸化炭素濃度の動態を重ねることにより,さらに研究を進めていきたい.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,成果を直ちに救急の臨床に反映できるよう,実臨床と直結した研究を展開していく.
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