2010 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症における自律神経系活動のcytokine動態への関与と治療法の確立
Project/Area Number |
22592009
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
仲村 将高 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (30315436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
織田 成人 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (90204205)
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Keywords | severe sepsis/septic shock / cecal ligation puncture / cholinergic anti-inflammatory pathway / cytokine theory of disease / heart rate variability / immunomodulation |
Research Abstract |
平成20年度科学研究費補助金萌芽研究(課題番号20659280)に引き続き,severe sepsis/septic shockの病態生理におけるcytokine productionの制御系,特に自律神経系を介した抗炎症反応系(cholinergic anti-inflammatory pathway)の解明について動物実験を行う事により開始した。オスSDラットを用い,敗血症cecal ligation puncture(CLP)モデルを作成したのちに副交感神経刺激薬であるdistigmineや5-HT_3 receptor antagonistであるtropisetronを投与し,プラセボ群と治療介入群とで,各種cytokine動態や生存率差を検討した。その結果,コントロール群に比較しCLPモデルラットでdistigmine投与群では,各種炎症性サイトカインの産生抑制,及び生存率の向上がみられた.またtropisetron投与群でも同様に各種炎症性サイトカインの産生抑制,及び生存率の向上がみられた.さらにこれらの実験系で心電図をモニタリングし解析用コンピュータに接続後,心拍変動解析(HRV解析)を行ったところ,CLPモデル下で相対的交感神経活動優位の状態がHRV解析で捉えられる傾向があり,distigmineやtropisetron投与後には,副交感神経活動優位のパターンがHRV解析で得られる傾向があった.以上より,ラット敗血症モデルにおいて,自律神経系を介したinflammatory reflexの存在が示唆され,同現象は心電図を連続モニタリングする事によりHRV解析を実施することで捉える事ができると考えられた. 今後は,同モデルを用いた他の自律神経作動薬の効果を確認し,これらの自律神経作動薬を用いた新たなimmunomodulation therapyの確立に向けて取り組んでいきたい.
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