2011 Fiscal Year Annual Research Report
急性腎傷害における心房性ナトリウム利尿ペプチドの腎保護作用メカニズムの研究
Project/Area Number |
22592010
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
三高 千恵子 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (20126254)
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Keywords | 急性腎傷害 / 心房性ナトリウム利尿ペプチド / 多臓器障害症候群 / 虚血・再灌流障害 / 抗炎症反応 |
Research Abstract |
【背景と目的】重症患者において、急性腎傷害(acute kidney injury;AKI)は頻繁に起こる合併症で、遠隔臓器にも影響する。そのため、AKIに対する早期治療が患者の予後を改善する。心房性ナトリウム利尿ペプチド(atrial natriuretic peptide;ANP)は、ナトリウム利尿だけでなく、抗炎症作用や細胞保護作用を有していることがin vitroの研究で明らかになった。そこで腎の虚血・再灌流傷害による急性腎傷害ラットモデルにおいて、ANP投与が腎や遠隔臓器である肺の保護作用を有するかを検討した。【対象と方法】ラット(male Sprague Dawley rat)腹腔内にペントバルビタールを注入し麻酔。右内頸動脈にカニューレを挿入し動脈圧の測定および採血を行った。右大腿静脈にカニューレを挿入し生食を6ml/kg/hrの速度で持続投与した。3群に分類1)Sham-operated control(n=6):腹部皮膚切開のみ施行、2)Vehicle投与急性腎傷害群(n=12):腎の虚血・再灌流モデル作成:腹部皮膚切開後、左側腎茎(腎静脈、腎動脈)を露出し血管クリップで1時間クランプ、クランプ解除後3時間経過観察、3)ANP投与急性腎傷害群(n=12):左側腎茎をクランプする5分前から、生食輸液からANPに切り替え、ANPを02μg/kg/min(生食で希釈6ml/kg/hr)の速度で3時間持続投与。測定項目:心拍数、血圧、動脈血液ガス、尿量、血漿クレアチニン濃度、血漿乳酸値、血漿K濃度、血中サイトカイン(TNF-α,IL-6,IL-β)濃度、測定時間:前、1、2、3時間、3時間後にペントバルビタールを大量投与後、腎と肺を摘出し、炎症性サイトカイン(TNF-α,IL-6,IL-β)のmRNA測定用に冷凍保存、蛍光染色用に冷蔵保存した。【結果】Vehicle投与急性腎傷害群では、代謝性アシドーシス、血漿乳酸値の増加を認めた。ANP投与急性腎傷害群では、代謝性アシドーシスや血漿乳酸値の増加を阻止した。組織蛍光染色では、vehicle投与急性腎傷害群において腎の血管内皮細胞と気管支上皮細胞にTNF-αの発現を認めた。これより、ANPは腎の虚血・再灌流による急性腎傷害及び肺での炎症を阻止することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラットの腎虚血・再灌流傷害モデルにおいて、ANP前投与により炎症性サイトカインの発現が腎と肺で減少し、腎の血管内皮細胞や気管支上皮細胞においてTNF-αの蛋白発現が確認された。これにより、ANPの前投与は腎や肺において抗炎症作用を示すことが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ANPの前投与ではなく、ラットの腎虚血・再灌流モデルを作成後にANPを投与し、ANPが急性腎傷害を軽減し、遠隔臓器である肺の炎症反応を軽減するかを研究する。
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Research Products
(2 results)