2011 Fiscal Year Annual Research Report
血管内軽度低体温法による虚血再灌流後の心筋保護効果:ラット孤立心筋モデルでの研究
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22592012
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
望月 利昭 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (40293641)
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Keywords | infarct size / viability / ischemia/reperfusion injury / reactive oxygen species (ROS) / cooling / nitric oxide (NO) / Phosphoinositide 3-kinase (PI3K) |
Research Abstract |
低体温療法には心肺停止自己心拍再開後の心筋保護作用が期待される。以前、虚血中に導入した低体温療法に心筋保護作用があり、機序としてnitric oxide (NO)/Akt系が関与することが心筋細胞レベルで示された。今回我々は再灌流直後に導入した低体温療法には心筋保護作用があるか、この心筋保護作用にはNO/Akt系の上流にあるPhosphoinositide 3-kinase (PI3K)系が関与するか調べる。 平成23年度は平成22年度の研究成果を基にし、以下のように研究を進めた。すなわち、ラット孤立心筋モデルに37℃30分の全虚血とその後180分の再灌流を行い、reperfusion/L-NAME群(再灌流時34℃低体温とnitric oxide synthase阻害薬L-NAME負荷)、reperfusion/LY294002群、reperfusion/wortmannin群(再灌流時34℃低体温にPI3K阻害薬LY294002もしくはwortmannin負荷)を群わけとして追加した。 平成22年度の結果、低体温療法は虚血中、もしくは再灌流直後に導入しても梗塞範囲を減少させることは判明していたが、加えてL-NAME、LY294002およびwortmanninを投与すると低体温療法の心筋保護作用は消去されることがわかった。(P<0.05,RM-ANOVAおよびTukey-Kramer post hoc test) 低体温療法は再灌流時に導入しても心筋保護作用があることが孤立心筋モデルというwhole organレベルで判明した。自己心拍再開時まで低体温療法導入が遅延しても、できるだけ早期に低体温療法を行うと心筋保護作用が期待できるだろう。さらに、低体温療法の機序としてNO/Akt系の上流であるPI3K系が関与していることも示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
虚血再灌流後心機能を心筋梗塞範囲という観点から探り、再灌流後直後に血液冷却低体温療法を始めれば心筋梗塞範囲が減少することを見いだした。さらにその機序としてNOおよびPI3Kが関与していることを見いだしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
全虚血30分負荷後にさらに心肺蘇生をシミュレートした低灌流期10分を付け加えた場合、どの時点で低体温療法を導入すると低体温療法の心筋保護効果が見られるのか探る。あわせて、この心筋保護効果にERK(Extracellular signal-regulated kinase)および/もしくはeNOS(Endothelial nitric oxide synthase)が関わっているかどうか探る。
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Research Products
(5 results)