2010 Fiscal Year Annual Research Report
急性肺傷害の肺保護療法による改善機序の研究:呼吸仕事量解析と微小循環を指標として
Project/Area Number |
22592022
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
西山 圭子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (00155532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 万希子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60178332)
冨澤 康子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (00159047)
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Keywords | 急性肺傷害 / 呼吸仕事量 / 人工呼吸器 |
Research Abstract |
換気補助レベル設定が調整可能な部分補助換気(proportional-assist ventilation with load-adjustable gain factors ; PAV+)は患者の自発呼吸努力に比例してflowとvolumeを補助する様式である。集中治療室において自発呼吸補助を行った患者を対象にPAV+と圧支持換気pressure support ventilation ; PSV)について、胸郭および腹壁伸展度を測定することにより自発呼吸に対する補助効果を比較した。24時間以上自発呼吸補助換気を行った患者8名を対象とした。PSVの換気圧は一時的にPAV換気モードへ移行させ、呼吸仕事量を指標にサポート率が50%になる換気量、または最高気道内圧とほぼ等しい値になるように設定した。胸郭および腹壁伸展度測定は脳波計の呼吸解析機能と呼吸ピックアップを流用し、胸部は乳線上を、腹部は胸骨下縁と膀の中点を検出部位として体幹の外周変化を伸展変化として表現した。患者にはPSV換気を12~24時間施行後に動脈血液ガス分析、胸部X線撮影を行い、PAV+換気へ移行させ、12~24時間後の同様の測定を行った。伸展度合いの差異は振幅の相対的変化で表し、吸気開始から吸気伸展ピークまでの時間差は、呼吸周期を360度に規格化した角度で表現し比較した。胸部および腹部の伸展度はPSVを100%とすると、PAV+では胸部は112.0±2.7%で、腹部は118.0±3.7%で有意にPAV+で胸部と腹部の伸展が大きかった(p<0.0001)。そしてPAV+で腹部伸展度は、胸部伸展度に比し有意に大きかった(p<0.005)。胸部および腹部の吸気ピークに到達する時間はPAV+ではPSVに対して、胸部では平均7.6±3.6度(p=0.004)、腹部では平均12.2±2.7度(p=0.002)と、PAV+の方では短かかった。PAV+がより自発呼吸により近く、補助呼吸の際に患者の負担を軽減していることが推測された。
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